フラメンゴはルーカス・パケタの復帰に向けて交渉を加速させている。ブラジル紙『Bolavip』の報道によれば、テクニカルディレクターのジョゼ・ボトが中心となり、ウエストハムとの交渉を主導している。すでに代理人との接触は継続的に行われており、1月の移籍市場での合意を目指しているという。
フラメンゴは2024シーズンにコパ・ド・ブラジルを制したものの、リベルタドーレスや国内リーグでは期待を下回る結果に終わった。その反省を踏まえ、2025年はクラブワールドカップを最大のターゲットに据え、補強戦略を練っている。特にパケタの復帰は、クラブの象徴を取り戻すという意味合いを持つ。
パケタ自身も母国復帰に前向きで、給与を半減してでもフラメンゴのユニフォームを再び着たいという意志を示している。ウエストハムとの契約は2027年まで残っているが、クラブ側も選手の希望を尊重し、交換トレードを含む柔軟な交渉に応じる姿勢を見せている。
ルーカス・パケタの進化とフラメンゴでの役割
パケタはフラメンゴの下部組織から育ち、トップチームで95試合に出場した後、2019年にACミランへと渡った。その後リヨンを経て、2022年にウエストハムへ加入。プレミアリーグでは攻撃的MFとしてだけでなく、インサイドハーフやセントラルMFとしても起用され、戦術的柔軟性を身につけた。
特に2023-24シーズンのヨーロッパカンファレンスリーグ制覇では、攻守両面で存在感を発揮。ボール奪取から前線への推進力、そして決定的なラストパスまで、試合の流れを変える力を証明した。フラメンゴに戻れば、ジョルジアン・デ・アラスカエタとの共演が最大の注目点となる。両者が同時にピッチに立てば、南米屈指の攻撃ユニットが完成する可能性が高い。
また、パケタのプレースタイルはフラメンゴのサポーターが熱望する「魅せるサッカー」とも親和性が高い。彼の華麗なテクニックと創造性は、マラカナンの観客を再び熱狂させるだろう。
経済的リスクとクラブの決断
最大の障壁は経済面。ウエストハムはパケタを安売りするつもりはなく、移籍金は依然として高額になる見込みだ。さらに、パケタ自身が給与を大幅に減額する意思を示していることは、交渉を大きく前進させる要因となっている。これは単なる金銭的譲歩ではなく、彼がフラメンゴで再び頂点を目指したいという強烈な決意の表れと言える。
もしこの移籍が実現すれば、フラメンゴは南米で圧倒的な存在感を示すだけでなく、世界の舞台でも欧州クラブに真っ向勝負を挑める布陣を整えることになる。ロベルト・フィルミーノの加入も噂される中、パケタとの共演はクラブ史に残る攻撃陣を形成する可能性がある。
一方で、過去に大物補強が必ずしも成功してこなかった歴史もある。戦術的なフィット感やチームバランスをどう保つかが、フィリペ・ルイス監督に課せられる最大の課題となるだろう。
個人的な見解
ルーカス・パケタの復帰は、フラメンゴにとって「クラブの魂を取り戻す」瞬間になると感じている。彼は単なる補強選手ではなく、クラブの歴史と未来をつなぐ存在だ。欧州で培った経験と戦術理解を持ち帰ることで、フラメンゴは南米の枠を超えたクラブへと進化できる。
ただし、経済的リスクや戦術的な調整は避けて通れない。特にアラスカエタとの共存や、既存戦力との役割分担は慎重に設計する必要がある。
それでも、マラカナンで再びパケタが躍動する姿を想像すると、クラブとファンにとってこれ以上ない希望の象徴となるはずだ。
フラメンゴがこの賭けに出るかどうかは、クラブの未来を決定づける分岐点になる。だが、情熱と実力を兼ね備えたパケタが帰還すれば、その一歩は確実にクラブを新たな高みに押し上げるだろう。
