ヨーロッパの移籍市場で最も注目される若手のひとりが、FCポルトのデンマーク人MFヴィクトル・フロホルトだ。2006年生まれの19歳は、今季すでに公式戦11試合に出場し、1得点2アシストを記録。数字以上に際立つのは、試合のリズムを掌握する冷静さと、球際での強さを兼ね備えたプレーである。
『CNN Portugal』によれば、本人は「退団は考えていない」と語り、ポルトでの生活に満足していると強調した。しかし、スタジアムにはプレミアリーグやラ・リーガのスカウトが頻繁に足を運んでおり、アーセナル、トッテナム、ブライトン、アトレティコ・マドリードといったクラブが熱心に追いかけていると、英『CaughtOffside』が伝えた。
ポルトは今夏、コペンハーゲンから2000万ユーロ＋出来高200万ユーロで彼を獲得したばかりだが、すでに市場価値は倍増し、移籍金は5000万ユーロを超える可能性が高いと見られている。
各クラブが描くフロホルト像
アーセナルは彼を「未来のジャカ」と位置づけ、アルテタの戦術における中盤の核として構想している。深い位置からの配球力と試合を落ち着かせるリズム感は、アルテタのポゼッション志向に合致する。
一方でトッテナムは、プレミア特有の強度に即対応できる走力とフィジカルを評価している。トーマス・フランク監督は、中盤のエンジンとして彼を起用する青写真を描いている。
ブライトンは若手育成の実績を背景に、彼を次なる「隠れた原石」として狙っており、アトレティコ・マドリードはシメオネの哲学に合致する闘志と守備力を高く評価している。
2024/25シーズン、コペンハーゲンで53試合に出場し6得点2アシストを記録したフロホルトは、デンマーク代表でもすでに3キャップを獲得している。ポルト移籍後もその勢いは衰えず、リーグ開幕月には「月間最優秀選手」「月間最優秀MF」「月間最優秀若手選手」の三冠を達成した。
平均パス成功率は87％、デュエル勝率は62％と、19歳とは思えない安定感を誇る。特に試合終盤にこそ冷静さを発揮し、相手のプレスをいなす姿は、すでに完成度の高いMFの証拠だ。
個人的な見解
フロホルトをめぐる争奪戦は、若手獲得競争の枠を超え、クラブの未来を左右する戦略的な一手となる。
アーセナルに加入すれば、アルテタのサッカーを支える中盤の核となり、トッテナムに行けばプレミアの強度を象徴する存在になれる。
ブライトンなら育成の文脈でさらなる飛躍が期待でき、アトレティコなら闘志あふれる中盤の闘将へと進化するだろう。
個人的には、彼の冷静さと配球力はアーセナルに最もフィットすると感じる。しかし、トッテナムでの適応力も見逃せない。
いずれにせよ、彼の移籍はクラブ間の取引を超え、欧州サッカーの勢力図を揺るがす可能性を秘めている。2026年の移籍市場が本格化する頃、フロホルトの名前は間違いなく中心にあるはずだ。