チェルシーとユヴェントス、セルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチを巡る欧州争奪戦

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チェルシーとユヴェントス、セルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチを巡る欧州争奪戦 Chelsea

セルゲイ・ミリンコビッチ=サヴィッチの名前が再び欧州移籍市場を賑わせている。イタリア紙『Corriere dello Sport』によれば、アル・ヒラルでプレーする30歳のセルビア代表MFは2026年6月に契約満了を迎えるが、延長交渉は停滞している。そのため、来年1月からは欧州クラブとの事前交渉が可能となり、チェルシーとユヴェントスが本格的に動き出すと見られている。

ラツィオで8シーズンにわたり公式戦341試合に出場し、69得点58アシストを記録した万能型MFは、2023年にサウジへ渡ってからも存在感を失っていない。アル・ヒラルではここまで102試合で30得点26アシストを積み上げ、リーグ屈指の支配力を誇っている。だが、本人は欧州復帰への意欲を隠しておらず、特にプレミアリーグ挑戦への憧れは強いとされる。

チェルシーの財政規律と補強戦略

チェルシーにとって、ミリンコビッチ=サヴィッチの獲得は即戦力として魅力的だろう。192cmの長身を活かした空中戦の強さ、足元の技術、そしてゴール前での決定力は、プレミアリーグの激しい戦いに直結する武器となるだろう。だが、問題はその給与水準と年齢だ。現在の週給は約48万ユーロとされ、クラブが掲げる「若手育成と持続可能な補強戦略」とは大きくかけ離れている。

エンツォ・マレスカ監督の下でクラブは、モイセス・カイセドやエンソ フェルナンデスといった20代前半の選手を中心に据え、長期的なチーム作りを進めている。むしろアダム・ウォートンやマルク・カサドといった若手を優先すべきだとも指摘されており、彼の加入はクラブの方針を揺るがす可能性を孕んでいる。

ユヴェントスと他クラブの動き

一方、ユヴェントスは経験豊富な中盤の補強を急務としており、ミリンコビッチ=サヴィッチの獲得は理にかなっている。セリエAでの実績も十分であり、即戦力としてチームにフィットする可能性が高い。さらに、ガラタサライやフェネルバフチェといったトルコの名門も関心を示しており、欧州復帰の舞台はプレミアリーグに限らない。

ミリンコビッチ=サヴィッチは、守備でのインターセプトから攻撃のラストパスまで幅広くこなす「ボックス・トゥ・ボックス」の典型だ。

2018-19シーズンにはセリエAで平均2.1のタックル成功数と1.5のキーパスを記録し、攻守両面での存在感を証明している。プレミアリーグにおいても、そのフィジカルと戦術理解度は十分に通用するだろう。特にセットプレーでの空中戦は、チェルシーにとって大きな得点源となり得る。

個人的な見解

ミリンコビッチ=サヴィッチは、いまなお欧州トップレベルで通用する力を持つ稀有な存在だ。ラツィオでの8年間、そしてサウジでの2年間で培った経験は、チェルシーの若い中盤に安定感と厚みをもたらすだろう。

しかし、クラブが掲げる持続可能な補強戦略との整合性を考えると、この移籍は極めて難しい。高額年俸を削減してまで加入を望むかどうかは、本人のキャリア観とクラブの哲学が交わるかにかかっている。

個人的には、チェルシーがこのタイミングでミリンコビッチ=サヴィッチに手を伸ばすのは「短期的な即戦力補強」としては理解できるが、「長期的なチーム作り」という観点では疑問が残る。

むしろ、彼を狙うユヴェントスやトルコの強豪クラブの方が、即効性と経験値を重視するチーム事情に合致しているように思える。

チェルシーが本当に未来を見据えるなら、彼のような大物よりも、次世代を担う若手に投資する方が理にかなっているのではないだろうか。