リヴァプールがアスレティック・クラブのウィンガー、ニコ・ウィリアムズ獲得に再び動き出したとスペイン紙『Fichajes』が報じている。23歳のスペイン代表は今夏、アーセナルやバルセロナからの強い関心を受けながらも、最終的にはアスレティックと2035年までの10年契約を締結したばかりだった。
しかし、リヴァプールは依然として彼を攻撃陣の最重要ターゲットと位置づけ、7500万ユーロ規模のオファーを準備しているとされる。
この動きは、リヴァプールが攻撃の刷新を急いでいることを示している。モハメド・サラーが30代半ばに差し掛かり、ルイス・ディアス退団後の左サイドには推進力不足が顕著になっている。
コーディ・ガクポは得点力を備えているが、相手を切り裂くドリブルや縦への突破力では物足りない。ウィリアムズはその欠落を補う存在であり、彼の加入は攻撃のリズムを根本から変える可能性を秘めている。
ニコ・ウィリアムズの進化とリヴァプールの戦術的必然性
ウィリアムズは2021年にアスレティックのトップチームに定着して以来、着実に成長を遂げてきた。昨季はラ・リーガで11ゴール7アシストを記録し、スペイン代表でもルイス・デ・ラ・フエンテ監督から“天才”と評されるなど、攻撃の核としての地位を確立している。1試合平均3回以上のドリブル成功はリーグ屈指の数字であり、相手ディフェンスを切り裂く推進力はプレミアリーグでも即戦力となるだろう。
リヴァプールが彼を求める背景には、戦術的な必然性がある。アンフィールドのサッカーは依然としてハイプレスとトランジションを軸にしているが、相手がブロックを固めた際に打開できる選手が不足している。
ウィリアムズはその閉塞感を打ち破る存在であり、サラー、イサクと並ぶ“新三叉攻撃”を形成すれば、かつてのサラー、マネ、フィルミーノの黄金期を思い起こさせる破壊力を生み出す可能性がある。
さらに、彼の年齢は23歳。成長曲線のピークに差し掛かる前にプレミアリーグの強度を経験できれば、数年後には世界屈指のウィンガーへと進化するだろう。リヴァプールにとっては未来への投資であり、同時に現在の攻撃力を即座に引き上げる補強でもある。
契約延長と移籍の現実的なハードル
ただし、現実的な障害も存在する。ウィリアムズは2025年6月にアスレティックと10年契約を結んでおり、契約解除金は9000万ユーロ前後に設定されていると報じられている。
リヴァプールが提示を検討している7500万ユーロでは、クラブ側を動かすには不十分かもしれない。アスレティックはバスク地方の象徴として彼を手放す意思が薄く、交渉は難航する可能性が高い。
それでも、プレミアリーグでの挑戦を望む本人の意志が後押しとなれば、状況は変わる。リヴァプールは来夏のFIFAワールドカップ前に取引をまとめたいと考えており、選手のキャリアにとっても大きな転機となるだろう。アーセナルやバルセロナも依然として関心を持っているが、リヴァプールの積極性は群を抜いている。
個人的な見解
私は、この移籍が実現すればリヴァプールの攻撃は再び世界屈指の破壊力を取り戻すと考えている。
サラーの後継者を探すことはクラブにとって避けられない課題であり、その候補としてウィリアムズは理想的だ。
彼のドリブルと推進力はアンフィールドの観客を熱狂させ、試合の流れを一瞬で変える力を持っている。
一方で、巨額の投資にはリスクも伴う。プレミアリーグ特有のフィジカルとスピードに適応できるかどうかは未知数だ。
しかし、過去にサディオ・マネやルイス・ディアスが南欧からやって来て即座に適応した例を思えば、ウィリアムズにも十分な可能性がある。
リヴァプールがこの賭けに出るならば、それは未来を見据えた勇気ある決断であり、クラブの攻撃的アイデンティティを再び世界に示すことになるだろう。
