クラブ・ブルッヘ所属のエクアドル代表センターバック、ホエル・オルドニェスを巡る移籍戦線は、プレミアリーグとセリエAを巻き込んだ熾烈な争奪戦へと発展している。わずか21歳にして188センチの体格と冷静な判断力を兼ね備え、空中戦の強さとビルドアップ能力で評価を高める彼は、今や欧州中のスカウトが注目する存在。
サッカージャーナリストのマーク・ブルス氏が、サッカー移籍情報専門のニュースレター『Daily Briefing』投稿した内容によれば、ニューカッスル・ユナイテッドとアストン・ヴィラが依然として獲得レースの先頭に立っている。
両クラブは守備の強化を急務とし、オルドニェスを長期的な投資対象として見据えている。ニューカッスルはファビアン・シェアの契約延長を進めつつ、次世代の守備の柱を探しており、オルドニェスはその条件に合致。アストン・ヴィラもまた、欧州カップ戦を見据えて選手層を厚くする必要があり、複数ポジションをこなせる彼の柔軟性を高く評価している。
一方で、リヴァプールも再び動きを見せている。クリスタル・パレスのマルク・グエヒ獲得に失敗したことで、代替案としてオルドニェスをリストアップ。かつて追跡をやめたはずのターゲットに再び関心を寄せる姿勢は、彼の市場価値の高さを物語る。
そして新たに浮上したのがインテル・ミラノ。セリエA王者はヤン・アウレル・ビセックの退団に備え、オルドニェスを後継者候補としてリストアップしている。もし実現すれば、プレミア勢との争奪戦に割って入る形となり、移籍市場の構図は一気に複雑化する。
プレースタイルと課題、そして未来像
オルドニェスのプレースタイルは、アントニオ・リュディガーを彷彿とさせる。強靭なフィジカルを活かした対人守備、空中戦での圧倒的な勝率、そしてボールを持ち運ぶ勇気。ベルギーリーグでは相手のプレスをいなして前進する姿が目立ち、守備者でありながら攻撃の起点となる役割を果たしている。
ただし、課題も明確。素早いドリブラーへの対応や、カウンター局面での判断スピードには改善の余地がある。プレミアリーグの強度に適応するには、瞬時の判断力とポジショニングの精度をさらに磨く必要があるだろう。
それでも、21歳という年齢を考えれば成長の余白は大きい。ニューカッスルであればエディ・ハウの下で守備の規律を学び、アストン・ヴィラであればウナイ・エメリの戦術眼に鍛えられる。
リヴァプールに移籍すれば、アルネ・スロット体制における新たな守備の核となる可能性もある。インテルに渡れば、イタリア特有の守備戦術を吸収し、より完成度の高いセンターバックへと進化するだろう。
市場価値は現在3300万〜3700万ユーロとされるが、複数クラブの競合によって移籍金はさらに跳ね上がる可能性が高い。クラブ・ブルッヘも来夏の売却を視野に入れており、2026年の移籍市場で最も注目されるディフェンダーのひとりになることは間違いない。
個人的な見解
ニューカッスルが彼を手にすれば、守備の世代交代を一気に進め、欧州の舞台で安定した戦いを続けられるだろう。
アストン・ヴィラにとっては、欧州カップ戦での競争力を高めるための象徴的な補強になる。
個人的には、彼がどのクラブを選ぶかによってキャリアの方向性が大きく変わると考えている。
プレミアリーグでの激しい競争に挑むのか、セリエAで戦術的な洗練を追求するのか。いずれにせよ、オルドニェスは今後10年の欧州サッカーを彩るセンターバックのひとりになるだろう。