フランス・リーグ2のサンテティエンヌに所属する17歳のストライカー、ジリアン・ヌゲッサンを巡って、プレミアリーグの複数クラブが激しい競争を繰り広げている。英『CaughtOffside』の最新報道によれば、アーセナル、トッテナム、チェルシーが最前線に立ち、さらにブライトン、ブレントフォード、ワトフォードもスカウトを派遣しているという。
ヌゲッサンはフランスU-20代表としても頭角を現し、リーグ2での限られた出場機会でもその潜在能力を存分に示してきた。身長180cmの体格を活かした空中戦の強さ、スプリント力、そしてゴール前での冷静なフィニッシュは、すでに完成度の高さを感じさせる。
サンテティエンヌは彼をクラブの未来を担う存在と見なし、売却には強い抵抗を示しているが、プレミアリーグの資金力と将来性を提示されれば、交渉の扉が開かれる可能性は否定できない。
ヌゲッサンのプレースタイルとプレミアリーグ適性
ヌゲッサンの魅力は、得点力だけではない。純粋なストライカーとしてゴール前で存在感を発揮する一方で、両ウイングでもプレー可能な柔軟性を備えている。
アーセナルのミケル・アルテタが志向する前線の流動性、トッテナムのトーマス・フランクが求めるハイテンポな攻撃、チェルシーの若手重視の補強戦略。いずれのクラブにとっても、ヌゲッサンは理想的なピースとなり得る。
さらに、彼はフィジカルの強さとスピードを兼ね備え、プレミアリーグ特有の激しいコンタクトにも適応できる素質を持つ。実際、フランスU-20代表での試合では、相手ディフェンダーを背負いながらもボールを収め、味方に展開するプレーを繰り返しており、その成熟度は年齢を超えていると評されている。
ただし、課題も存在する。2025-26シーズン序盤は太ももの負傷で出遅れ、サンテティエンヌのトップチームでの出場はまだ限定的だ。実績面での裏付けが不足しているため、獲得を狙うクラブにとってはリスクを伴う投資となる。
しかし、近年のプレミアリーグは「未完成の原石」に積極的に投資し、育成を通じて大きなリターンを得る傾向が強まっている。ヌゲッサンもその典型的なターゲットといえる。
プレミアリーグ各クラブの思惑
アーセナルは今夏、エベレチ・エゼやヴィクトル・ギョケレスを獲得し攻撃陣を強化したが、将来を見据えたストライカーの補強は依然として課題だ。ヌゲッサンはその長期的な解決策となり得る存在であり、クラブのスカウト陣は継続的に彼を追っている。
トッテナムはハリー・ケイン退団後の前線再編が続いており、万能型のストライカーを求めている。ヌゲッサンのように中央でもサイドでも機能する選手は、戦術的な柔軟性を高めるうえで極めて有用だ。
チェルシーは近年、若手選手を積極的に獲得し、長期的なチーム基盤を築こうとしている。ヌゲッサンはその戦略に完全に合致するターゲットであり、彼を獲得できれば将来的に前線の主軸として育成する青写真を描ける。
一方で、ブレントフォードやブライトンといった中堅クラブも虎視眈々とチャンスを狙っている。特にブレントフォードはイヴァン・トニーやブライアン・ムベウモら退団後の後継者探しが急務であり、ヌゲッサンの獲得はクラブの未来を左右する可能性がある。
個人的な見解
ヌゲッサンを巡る争奪戦は、単なる若手獲得競争ではなく、プレミアリーグのクラブが未来の攻撃陣をどう構築していくかを示す象徴的な事例だと感じる。
アーセナルはジェズスやハフェルツといった多彩なアタッカーを抱えているが、純粋なストライカーの育成は急務。
トッテナムもケイン退団以降、前線の再編が続いており、ヌゲッサンのような万能型FWは戦術的に貴重な存在になり得る。
個人的には、ブレントフォードのような中堅クラブが彼を引き当てる可能性にも注目している。大舞台での経験不足は否めないが、プレミアリーグのフィジカルな環境で成長すれば、数年後にはリーグを代表するストライカーへと化ける可能性を秘めている。
ヌゲッサンの未来はまだ白紙だが、確実に言えるのは、彼の名前がこれから数年間、移籍市場の話題を賑わせ続けるということだ。
サンテティエンヌがどこまで彼を守り抜けるのか、そしてどのクラブがその才能を手にするのか。フランスの新星を巡る物語は、まだ始まったばかりだ。