ジョー・ゴメスの去就はリヴァプールとACミランの間で大きな注目を集めている。イタリアメディア『MilanLive』の報道によれば、ミランは冬の移籍市場でゴメス獲得に本腰を入れており、移籍金は1000万〜1500万ユーロ前後でまとまる可能性が高い。
今夏、リヴァプールはクリスタル・パレスのマルク・グエヒ獲得を目指したが、交渉が土壇場で破談となり、ゴメスの放出も頓挫した。だがアルネ・スロット監督の下で序列を落とした現状は変わらず、今季プレミアリーグでの出場はわずか数試合、合計出場時間も30分に満たない。クラブは契約を2027年まで残しているものの、代役を確保できれば放出に踏み切る構えを見せている。
一方のACミランは、守備の不安定さを解消するために経験豊富なセンターバックを求めている。フィカヨ・トモリらは潜在能力を示しているが、負傷や不安定なパフォーマンスが続き、安定感を欠いている。そこで、複数ポジションをこなせるゴメスの存在が浮上した。スポーツディレクターのイグリ・ターレが強く推しており、冬の補強リストの最上位に位置づけられている。
ジョー・ゴメスのプレースタイルとセリエAでの可能性
ゴメスの強みは、対人守備の粘り強さとスピードを兼ね備えたカバーリング能力にある。2019-20シーズンにはフィルジル・ファン・ダイクと鉄壁のコンビを築き、リヴァプールのプレミアリーグ制覇に大きく貢献した。だが、その後は度重なる負傷とポジション争いに苦しみ、安定した出場機会を得られなくなった。
セリエAは戦術的に緻密で、守備者には冷静な判断力と柔軟な対応力が求められる。ゴメスはセンターバックだけでなく、右サイドバックや左サイドでもプレー可能であり、戦術的な多様性を重視するミランにとって理想的な補強候補だ。特に、相手のカウンターをスピードで食い止める能力や、サイドに流れての1対1対応は、現在のミラン守備陣が抱える弱点を補う可能性が高い。
さらに、ゴメスは後方からのビルドアップにも一定の評価を得ている。左右どちらの足でもパスを展開できるため、後方からの組み立てに厚みを加えることができる。セリエAの試合運びはプレミアリーグに比べてテンポが落ち着いており、彼の冷静な判断力は適応しやすい要素となるはずだ。
リヴァプールにとってのリスクと選択肢
リヴァプールにとってゴメスの放出は、余剰戦力の整理では済まされない。フィルジル・ファン・ダイクはすでに34歳を迎え、イブラヒマ・コナテはパフォーマンスの波が激しく、契約問題が燻る。さらに、若手のジョヴァンニ・レオーニが負傷離脱している現状を考えれば、守備陣の層を削ることは大きなリスクを伴う。
クラブは依然としてマルク・グエヒの獲得を狙っているが、競合クラブも多く、交渉は容易ではない。もし代役を確保できなければ、ゴメスを冬に放出することは自らの首を絞める結果になりかねない。
個人的な見解
ジョー・ゴメスのキャリアは、リヴァプールでの栄光と挫折が交錯する複雑な軌跡を描いてきた。
28歳という年齢は、センターバックとして円熟期に差し掛かるタイミングであり、出場機会を求めて新天地を選ぶのは自然な流れだと感じる。
特に、リヴァプールでの序列が下がり続ける現状を考えれば、ACミランのような伝統あるクラブで再起を図ることは、選手としても大きな挑戦であり、同時にキャリアを再定義するチャンスになる。
一方で、リヴァプールにとってもゴメスの放出は軽視できない決断だ。ファン・ダイクの年齢、コナテの不確実性を考慮すれば、守備陣の層を削るリスクは小さくない。もし代役を確保できなければ、冬の放出はクラブにとって痛手となる可能性がある。
総じて、ゴメスの移籍はリヴァプールとACミラン双方にとって「必要性」と「リスク」が交錯する案件だ。
個人的には、彼がセリエAで再び輝きを取り戻す姿を見てみたい。リヴァプールでの停滞を打破し、ミランの赤と黒に身を包んで新たな物語を紡ぐ。
その瞬間は、彼自身にとっても、ファンにとっても待望の再生劇となるだろう。