アリアンツ・アレーナの芝を駆ける21歳の若き司令塔が、今やプレミアリーグの2大巨頭を揺さぶっている。アレクサンダル・パヴロヴィッチ、バイエルン・ミュンヘンが誇るドイツ代表MFに、マンチェスター・シティとマンチェスター・ユナイテッドが熱視線を送っている。
英『Caught Offside』の報道によれば、バイエルンは彼に対して8000万ユーロいう高額なプライスタグを掲げており、今冬の放出には消極的な姿勢を見せている。
しかし、来夏の移籍市場では状況が一変する可能性が高い。両クラブともに中盤の刷新を急務としており、パヴロヴィッチはその中心に据えられる存在としてリストアップされている。2025年10月現在、彼の去就は来夏のマーケットを彩る最大の注目トピックのひとつだ。
バイエルンの中盤を支える“静かなる支配者”
パヴロヴィッチのプレースタイルは、派手さよりも緻密さと安定感に満ちている。188cmの体格を活かしたボール奪取能力に加え、縦パスの精度と判断力は、まさに現代的なレジスタの理想像だ。バイエルンではヨシュア・キミッヒやレオン・ゴレツカと並び、試合のリズムをコントロールする役割を担っている。
今季も公式戦で既に10試合に出場し、パス成功率は驚異の91.4%。特に敵陣での縦パス成功率が高く、相手の守備ブロックを切り裂く役割を果たしている。また、守備面でも1試合平均2.3回のインターセプトを記録しており、攻守両面での貢献度は計り知れない。
彼の成長は偶然ではない。バイエルンの下部組織で育ち、トップチーム昇格後も着実に出場機会を重ねてきた。現在ではドイツ代表にも定着し、7キャップを記録。2026年のW杯に向けた中盤のキープレーヤーとしての期待も高まっている。
マンチェスター・シティにとって、パヴロヴィッチは“次世代のロドリ”としての期待がかかる存在だ。昨季から続く中盤の疲弊、そしてカルヴィン・フィリップスの構想外という現状を踏まえれば、ペップ・グアルディオラが新たな中核を求めるのは当然の流れ。
一方のユナイテッドは、ルベン・アモリム体制の下で中盤の再構築を進めている。カゼミーロの年齢やマヌエル・ウガルテの適応失敗もあり、クラブは新たな守備的MFの獲得を急いでいる。
ユナイテッドはすでにパヴロヴィッチを“カゼミーロの後継者”としてリストアップしており、来夏の本格交渉に向けて準備を進めているという。また、チェルシーやリヴァプールも水面下で動いているとの報道もあり、争奪戦は激化の一途をたどっている。
8000万ユーロの価値はあるのか?
8000万ユーロという金額は、若手選手としては破格だ。しかし、バイエルンがこの価格を設定するのには理由がある。彼のプレーには、年齢を超えた成熟と冷静さがある。プレッシャー下でも慌てず、的確な判断でボールを捌く姿は、まるで10年選手のようだ。
さらに、彼のポリバレント性も見逃せない。アンカーとしての起用が多いが、インサイドハーフやセンターバックの前に立つ“スクリーン”としても機能する。これにより、戦術の幅が広がり、どの監督にとっても重宝される存在となる。
また、彼のメンタリティも特筆すべきだ。若くしてバイエルンのプレッシャーに耐え、着実に地位を築いてきた背景には、強靭な精神力とプロ意識がある。これは、プレミアリーグという過酷な舞台で成功するために不可欠な要素と言える。
個人的な見解
アレクサンダル・パヴロヴィッチの名前が、これほどまでに欧州中の移籍報道を賑わせるのは当然だ。
彼のプレーには、数字では測れない“静かな支配力”がある。ボールを持った瞬間の落ち着き、味方を活かすパスの選択、そして守備時の読みの鋭さ、どれを取っても、21歳とは思えない完成度を保誇る。
個人的には、彼がグアルディオラの下でどのように進化するのかを見てみたい。シティのポゼッションスタイルと彼のプレービジョンは、理想的なマッチングに思える。一方で、アモリムのユナイテッドで“中盤の核”として据えられる姿も魅力的。
いずれにせよ、2026年夏の移籍市場は、パヴロヴィッチを中心に大きく動くことになるだろう。彼の選択が、プレミアリーグの勢力図を塗り替える可能性すらある。
