プレミアリーグの監督人事をめぐる最も注目すべき話題のひとつが、フラムのマルコ・シウバをめぐる動向だ。契約は今シーズン終了時に満了を迎える予定で、クラブは延長を望んでいるものの、正式な交渉にはまだ入っていないと、ピート・オルーク記者が英『Inside Track podcast』にて語った。
その一方で、ノッティンガム・フォレストが依然として彼の招聘を視野に入れていると報じられており、シウバの去就はプレミアリーグの勢力図を左右する可能性を秘めている。
フラムはここ数年、シウバの手腕によって安定した中位力を身につけた。守備組織の整備と攻撃の柔軟性を両立させ、昨季はクラブ史上最多の勝ち点を記録。だが今季は開幕から不安定な戦いが続き、直近のニューカッスル戦では終了間際に失点し、勝ち点を取りこぼした。
9試合を終えてわずか2勝、順位は16位と低迷している。クラブの将来像に対するシウバの不満は、補強の遅れや投資不足に端を発しており、契約延長の条件として「クラブが自身のビジョンに見合う野心を示すこと」を求めているとされる。
一方のノッティンガム・フォレストは、アンジェ・ポステコグルーの退任後にショーン・ダイチを招聘したが、国内リーグでの結果は芳しくない。ヨーロッパリーグではポルトを下すなど一時的な成果を挙げたものの、リーグ戦では降格圏から抜け出せず、18位に沈んでいる。
クラブのオーナー、エヴァンゲロス・マリナキスは過去にも監督交代を迅速に決断してきた人物であり、ダイチが結果を残せなければシウバ招聘に動く可能性は十分にある。
フラムの野心とフォレストの焦燥
フラムにとってシウバは、クラブのアイデンティティを形作る存在だ。彼の下でチームは「残留争いの常連」から「中位の安定勢力」へと変貌を遂げた。だが今季の不振は、補強の遅れや選手層の薄さが露呈した結果でもある。
クラブは新契約に1,500万ポンドのリリース条項を盛り込む案を検討していると報じられている。これはシウバを引き留めると同時に、他クラブからの引き抜きを防ぐ狙いがある。
しかし、シウバ自身は「クラブがどこまで本気で上を目指すのか」を見極めている段階だ。彼の戦術は、選手の質を最大限に引き出すことに長けているが、それでも限界はある。補強が伴わなければ、フラムは再び残留争いに巻き込まれる危険性が高い。ニューカッスル戦での終盤の失点は、単なる一試合の敗北ではなく、クラブの脆弱さを象徴する出来事だった。
一方、フォレストはクラブの未来を左右する岐路に立たされている。ダイチの堅守速攻スタイルは短期的な安定をもたらす可能性があるが、長期的にクラブを中位以上に押し上げるビジョンを描けるかは疑問が残る。
シウバのフットボールは、ポゼッションを基盤にしながらも相手の弱点を突く柔軟性を持ち、フォレストの現有戦力を活かす可能性を秘めている。特に中盤の構成力を高め、攻撃のバリエーションを増やす点で、シウバの哲学はフォレストに新たな方向性を与えるだろう。
個人的な見解
マルコ・シウバの去就は、プレミアリーグの中位争いと残留争いを同時に揺さぶるテーマだ。フラムに残れば、クラブは安定を維持できるが、補強不足が続けば停滞は避けられない。
一方でフォレストに移れば、降格圏からの脱出と中期的な成長を同時に託されることになる。これは監督としての挑戦心を大いに刺激するはずだ。
個人的には、フォレストがシウバを招聘する可能性は現実味を帯びていると考える。ダイチのスタイルは短期的な成果をもたらすかもしれないが、クラブの長期的なビジョンに合致するかは疑問が残る。
シウバの戦術的柔軟性と選手育成力は、フォレストの未来を形作る上で大きな武器になるだろう。今後数カ月の結果次第で、シティ・グラウンドに新たな指揮官が立つ光景が現実になる可能性は十分にある。
