トッテナムにとって、ドミニク・ソランケの獲得は大きな投資だった。2024年夏にボーンマスから加入し、移籍金は約6000万ポンド。昨季はアンジェ・ポステコグルーの下で公式戦45試合に出場し16得点を挙げ、前線の軸として機能した。しかし今季は状況が一変。開幕からわずか49分の出場にとどまり、8月23日のマンチェスター・シティ戦を最後にピッチから姿を消している。
ソランケは足首の手術を受け、現在もリハビリ中。個別練習で芝に戻った段階にあるが、チーム合流には時間がかかる見込みだ。フランク監督は「前進はしているが、完全復帰には慎重を期す」と語りつつも、戦力として計算できない現状に不満を抱いている。英『Football Insider』の報道では、フランクはソランケを「好んでいない」とされ、構想外に近い扱いを受けているという。
移籍市場と補強の難しさ
トッテナムは1月の移籍市場で新たなストライカー獲得を模索しているが、現実は厳しい。冬の市場は選手獲得が難しく、特に即戦力級のストライカーは高額な移籍金や競合クラブの存在が障壁となる。
候補として名前が挙がるのは、ユヴェントスのドゥシャン・ヴラホヴィッチやブレントフォードのイヴァン・トニーだが、いずれも実現性は低い。現実的には、リシャルリソンやマティス・テル、ランダル・コロ・ムアニらを組み合わせ、モハメド・クドゥスやシャビ・シモンズを前線に押し上げる柔軟な布陣で戦う可能性が高い。
フランクはブレントフォード時代から「限られた戦力を最大化する」手腕で知られており、今季もその采配力が問われている。直近のエヴァートン戦ではミッキー・ファン・デ・フェンの2得点で勝利を収め、戦術的修正力を示したが、長期的にはストライカー不在のリスクを抱え続けることになる。
個人的な見解
ソランケの長期離脱とフランクの評価低下は、トッテナムの補強戦略におけるリスク管理の甘さを浮き彫りにしている。
6000万ポンドという巨額の投資を行った選手が、わずか1年で構想外に近い扱いを受けている現実は、クラブのスカウティングやメディカルチェックの精度に疑問を投げかける。
特にストライカーというポジションは、得点力の安定供給がチーム全体の成績を左右するだけに、補強の失敗は致命的だ。
一方で、フランクの戦術的柔軟性を考えれば、現有戦力を最大限に活かす可能性もある。リシャルリソンやテルのように伸びしろを残す選手を組み合わせ、流動的な前線を構築することで、ソランケ不在の穴を埋める道はある。
しかし、長期的にはやはり新たなストライカーの獲得が不可欠だ。ヴラホヴィッチのような即戦力を引き当てられるかどうかが、トッテナムの未来を大きく左右するだろう。