ブンデスリーガで最も注目を浴びている若手の一人が、アイントラハト・フランクフルト所属のジャン＝マテオ・バホヤだ。フランスU-21代表としてもプレーする20歳のウィンガーは、昨季のボーフム戦で時速37.16kmという驚異的なトップスピードを記録し、リーグ屈指の快速アタッカーとして名を轟かせた。
今シーズン、バホヤはここまで公式戦12試合に出場し3ゴール1アシストを記録している。ブンデスリーガでは7試合で2得点1アシスト、さらにチャンピオンズリーグでも出場機会を得ており、国際舞台での経験も積み始めている。まだ20歳ながら、試合ごとにプレーの幅を広げ、単なるスピードスターにとどまらない成長を見せている点が印象的。
リヴァプールとフランクフルトの関係性がカギを握る移籍交渉
リヴァプールがバホヤに注目している背景には、クラブの補強戦略がある。英『Anfield Watch』の報道によれば、リヴァプールはコーディ・ガクポとポジションを争える新たな左ウィンガーを探しており、バホヤはその理想的な候補とされている。
リチャード・ヒューズSDのもとで進むスカウティングは、今夏にヒューゴ・エキティケを獲得した成功体験を踏まえており、フランクフルトとの良好な関係性が今回の交渉にも影響を与える可能性が高い。
一方で、フランクフルトはバホヤを手放す意思を見せていない。契約は2029年まで残っており、クラブは長期的な戦力として彼を中心に据える構想を描いている。さらに、2025年夏にはサウジアラビアから7000万ユーロのオファーが届いたものの、フランクフルトはこれを拒否した。
ただし、リヴァプールにとって希望的な要素もある。バホヤはプレミアリーグへの挑戦に前向きな姿勢を見せており、アーセナルを含む複数クラブが関心を寄せている。市場価値は2500万ユーロに更新されているが、実際の移籍金は需要の高まりによって跳ね上がる可能性がある。
バホヤのプレースタイルとリヴァプールへの適合性
バホヤの最大の武器はスピードだが、それだけではない。右足を利き足としながら左サイドでプレーすることで、カットインからのシュートやクロスを自在に選択できる。ドリブル突破の回数はブンデスリーガでも上位に位置し、相手ディフェンスを引き裂く力を持つ。
さらに、守備面でも前線からのプレスに積極的で、転換期を迎えるリヴァプールの攻撃陣に新たな刺激を与え、自身も世界的なウィンガーに成長する可能性すらある。
とはいえ、彼のプレーには若さゆえの粗さも残る。試合を決定づける場面での判断力や、フィニッシュの精度には改善の余地がある。
しかし、20歳という年齢を考えれば、それはむしろ伸びしろの証明だ。アルネ・スロット体制を模索するリヴァプールにとって、バホヤのような原石を磨き上げることは、未来の攻撃陣を形作る上で欠かせないプロセスとなるだろう。
個人的な見解
ジャン＝マテオ・バホヤは、リヴァプールが次世代の攻撃陣を再構築する上で極めて重要な存在になり得ると感じる。
彼の持つ爆発的なスピードは、プレミアリーグのハイテンポな試合展開において大きな武器となる。ガクポやフェデリコ・キエーザといった既存のウィンガー陣に比べても、縦への推進力は群を抜いており、試合の流れを一瞬で変える可能性を秘めている。
一方で、フランクフルトが彼を手放す可能性は低く、リヴァプールが本気で獲得に動くならば、相応の投資が必要になるだろう。
だが、過去にモハメド・サラーやサディオ・マネといった選手を見抜き、世界的スターへと育て上げたリヴァプールの歴史を考えれば、バホヤの獲得はその延長線上にある挑戦だと考えられる。
数年後、アンフィールドで彼が観客を沸かせる姿を想像すると、クラブの未来を左右する重要な決断になると確信している。