エドゥアルド・カマヴィンガの去就はヨーロッパの移籍市場で最も熱い話題のひとつとなっている。22歳のフランス代表MFは、レアル・マドリードで公式戦180試合以上に出場し、チャンピオンズリーグやラ・リーガ制覇を経験してきた。しかし、今季は負傷の影響で出場機会が限られ、シャビ・アロンソ新監督の下で序列が揺らいでいる。
4月には左内転筋腱の断裂という重傷を負い、クラブW杯を含むシーズン後半を棒に振った。復帰後もコンディションが安定せず、フェデリコ・バルベルデやオーレリアン・チュアメニ、ジュード・ベリンガムといった中盤のライバルに押され、スタメン定着には至っていない。
スペイン紙『Fichajes』は、レアルが8000万ユーロ以上のオファーであれば交渉に応じる可能性があると報じている。
その動きを敏感に察知しているのがマンチェスター・ユナイテッドだ。ルベン・アモリム監督の下で再建を進めるクラブは、今季プレミアリーグで好調を維持し、。現時点で6位にいる。ただし、ブルーノ・フェルナンデスのパフォーマンス低下、カゼミロの衰え、マヌエル・ウガルテの不安定さといった課題は顕著で、中盤の刷新は急務となっている。
中盤再生の切り札となるか！？カマヴィンガの特性とユナイテッドの課題
カマヴィンガの魅力は、その万能性にある。本職は守備的MFだが、左サイドバックやインサイドハーフとしても機能し、試合の流れを読む力とボール奪取能力に優れる。レアルでのデータを見ても、1試合平均2回以上のタックル成功、パス成功率90％超という安定感を誇る。ユナイテッドが求める「中盤の制御力」を一気に引き上げる存在だ。
一方で、負傷歴の多さはリスク要因となる。2024-25シーズン以降、筋肉系のトラブルや膝の負傷で離脱を繰り返しており、長期的なフィットネス維持が課題だ。
それでも、22歳という若さと経験値の高さは、ユナイテッドにとって魅力的すぎる。ブルーノ・フェルナンデスの後継者候補として名前が挙がるアダム・ウォートンやカルロス・バレバと比較しても、カマヴィンガはすでに欧州トップレベルで結果を残している点で一歩抜きん出ている。
ユナイテッドは今夏、前線にマテウス・クーニャやブライアン・ムベウモを加えたが、中盤の補強は実現しなかった。来夏にはカゼミロが契約満了で退団する見込みであり、クラブは中盤の即戦力確保を最優先課題としている。その文脈で、カマヴィンガ獲得は「未来への投資」であると同時に「現在の課題解決」でもある。
個人的な見解
カマヴィンガの移籍は、ユナイテッドにとってリスクとリターンが表裏一体の賭けになるだろう。負傷歴を考えれば8000万ユーロという投資は決して軽くはない。
しかし、彼が持つ戦術的柔軟性と経験値は、アモリム監督のチームに即効性をもたらす可能性が高い。特に、プレミアリーグの激しい強度に適応できれば、ブルーノ・フェルナンデスの負担を軽減し、チーム全体のバランスを整える存在になり得る。
個人的には、ユナイテッドが本気で欧州の頂点を目指すのであれば、このリスクを恐れてはいけないと考える。カマヴィンガはまだ22歳。
正しい環境と継続的な出場機会を得れば、世界最高峰のMFへと成長する可能性を秘めている。オールド・トラッフォードの芝に立つ彼の姿は、クラブ再建の象徴となり、ファンに新たな希望を与えるだろう。