ブレナン・ジョンソンの名前はトッテナム・ホットスパーのファンの間で賛否両論を巻き起こしている。昨季のヨーロッパリーグ決勝、ビルバオでのマンチェスター・ユナイテッド戦で決勝ゴールを叩き込み、長年の無冠時代に終止符を打った英雄。その瞬間、彼はクラブの歴史に刻まれた。しかし今季、彼の立場は大きく揺らいでいる。
今季プレミアリーグでのジョンソンは、開幕から9試合に出場し2ゴールを記録している。数字だけを見れば悪くはないが、内容面では波が大きい。マンチェスター・シティ戦やバーンリー戦では得点を挙げた一方、ブライトン戦やウルヴズ戦では存在感を示せず、試合から消えてしまう時間が目立った。
トーマス・フランク監督は、攻撃の再構築を進める中でジョンソンの不安定さに頭を悩ませている。ニューカッスル戦でのカラバオカップ敗退では、サイドでの仕掛けが乏しく、守備面でも戻りが遅れた場面が失点につながった。フランクは「チーム全体の進化を止めるわけにはいかない」という姿勢を崩しておらず、ジョンソンが改善を見せなければ序列を下げる可能性が高い。
トッテナムの補強戦略とジョンソンの未来
トッテナムは2025/26シーズンに向けて、ワイドアタッカーの補強を強く検討している。アントワーヌ・セメニョやジャロッド・ボーウェン、さらにはイリマン・エンディアイェといった選手がリストアップされている。特にボーウェンはプレミアリーグで実績を積んだ即戦力であり、加入すればジョンソンの出場機会は大きく減少するだろう。
さらに、トッテナムはモハメド・クドゥスを攻撃の中心に据える構想を描いている。クドゥスの推進力と創造性を最大限に活かすためには、サイドに安定したパフォーマンスを発揮できる選手が必要だ。ジョンソンがその役割を担えなければ、新戦力が即座にポジションを奪うことになる。
ジョンソンの市場価値は4000万ユーロ前後で推移している。これはクラブにとって売却益を見込める水準であり、補強資金を捻出するための駒として扱われる可能性も否定できない。つまり、ジョンソンは今冬の移籍市場で「残すか、売るか」の判断を迫られる立場にある。
個人的な見解
ブレナン・ジョンソンのキャリアは、まさにジェットコースターのようだ。昨季の英雄的瞬間から、今季の不安定なパフォーマンスまで、短期間で評価が大きく変動している。
だが、これはプレミアリーグという舞台の厳しさを象徴している。クラブは常に前進を求め、選手は一瞬の停滞すら許されない。
私の見立てでは、ジョンソンに残された時間は長くない。冬の移籍市場までに結果を残せなければ、クラブは新戦力を迎え入れ、彼を放出する決断を下すだろう。
ただし、彼にはまだ可能性がある。シティ戦で見せたような鋭いカットインと冷静なフィニッシュは、彼の武器が健在であることを示している。問題は、それを毎試合のように発揮できるかどうかだ。
トッテナムが新時代を築こうとしている今、ジョンソンは自らの未来を切り開くか、それともクラブの歴史に一瞬の輝きだけを残して去るのか。その答えは、これから数か月の彼のプレーにかかっている。
