ダヨ・ウパメカノを巡る移籍市場の動きは、欧州サッカー界の注目を集めている。バイエルン・ミュンヘンとの契約は2026年まで残っているものの、給与や代理人手数料を巡る交渉は依然として膠着状態にある。クラブ側は契約延長を最優先課題としているが、選手サイドの要求額は高く、合意には至っていない。
この隙を突こうとしているのがインテル・ミラノだ。トルコ出身のサッカージャーナリストのエクレム・コヌル氏によれば、クラブはフランチェスコ・アチェルビの後継者探しを急務とし、ウパメカノを最有力候補に据えている。
近年、チャンピオンズリーグで2度の決勝進出を果たしたインテルは、欧州での存在感を背景に、選手にとって魅力的なプロジェクトを提示できる立場にある。
一方で、リヴァプールやチェルシー、さらにはレアル・マドリードも獲得に関心を示しており、競争は熾烈を極める。特にリヴァプールはイブラヒマ・コナテの契約問題を抱えており、同胞ウパメカノを後釜に据える構想を持つとされる。チェルシーは守備再建の一環として、レアルは長期的なセンターバック補強の一環として動向を注目している。
ウパメカノのプレースタイルとインテルでの役割
ウパメカノの強みは、圧倒的なフィジカルとスピードを兼ね備えた対人守備力にある。バイエルンでは高い最終ラインを支え、相手エースを1対1で封じ込める姿が幾度となく見られた。さらに、縦パスを通すビルドアップ能力も高く、守備者でありながら攻撃の起点となる存在。
インテルの3バックに組み込まれれば、中央で広大なスペースをカバーし、両脇のセンターバックを支える役割を担うことになるだろう。特にセリエAでは、戦術的に緻密な守備が求められるため、ウパメカノの読みと機動力は大きな武器となる。さらに、チャンピオンズリーグでの経験値は、インテルが欧州の舞台で勝ち抜くために不可欠な要素。
ただし、課題もある。ウパメカノは集中力の波が激しく、大舞台でのミスが批判されることも少なくない。インテルが彼を迎え入れる場合、クリスティアン・キヴ監督の下で戦術的な規律を徹底させる必要がある。
今回のケースは、欧州の移籍市場における駆け引きの縮図でもある。インテルは財政的に潤沢ではないが、フリー移籍や市場の隙を突いた補強で成果を上げてきた。ウパメカノを1月に獲得できれば、他クラブに先んじるだけでなく、バイエルンに移籍金を支払うことで交渉を有利に進められる可能性がある。
一方で、バイエルンはヴィンセント・コンパニ監督の下で守備の再構築を進めており、ウパメカノの残留を強く望んでいる。クラブとしては、来夏にフリーで失うリスクを避けるため、冬の段階で決断を迫られることになるだろう。
個人的な見解
ウパメカノを巡る動きは、インテルにとってクラブの未来を左右する分岐点になると感じている。
もし1月に獲得できれば、守備の安定性は飛躍的に高まり、セリエA制覇やチャンピオンズリーグでの躍進に直結するだろう。逆に逃せば、来夏にはリヴァプールやレアルといった財力に勝るクラブに奪われる可能性が高い。
個人的には、インテルがリスクを取ってでも冬に動くべきだと考える。契約延長が進まない現状を踏まえれば、バイエルンも交渉に応じる余地はあるはずだ。
ウパメカノがセリエAの戦術的な厳しさに適応できれば、インテルの守備は数年先まで盤石なものとなる。
