リヴァプールはインテルのアレッサンドロ・バストーニ獲得に向けて本格的に動いている。スペイン紙『Fichajes』によれば、マージーサイドのクラブは8000万ユーロ以上のオファーを準備し、インテル・ミラノの出方を伺う可能性があるとされ、アルネ・スロット監督の下で守備の再建を急ぐリヴァプールにとって、現実的なターゲットとなっている。
この背景には、クラブの守備陣が抱える深刻な課題がある。イブラヒマ・コナテは契約問題が解決しておらず、来夏にも退団する可能性がある。さらに、ジョヴァンニ・レオーニが夏に加入した直後に大怪我でシーズンを棒に振ったことで、センターバックの層は極端に薄くなった。
フィルジル・ファン・ダイクは依然としてリーダーシップを発揮しているが、34歳を迎え契約延長の行方も不透明であり、次世代の守備リーダーを確保する必要性は日に日に高まっている。
バストーニはその条件をすべて満たす存在だ。26歳という年齢は即戦力でありながら長期的な投資としても理想的で、左利きセンターバックという希少性もリヴァプールの戦術的ニーズに合致する。インテルで培った3バックの経験は、スロット監督が時折採用する可変的な守備システムにも適応可能であり、戦術的柔軟性を大きく高めるだろう。
インテルにとっての痛手とリヴァプールの未来像
インテルにとって、バストーニは守備の一員にとどまらない。同クラブの最終ラインにおける軸であり、後方からのビルドアップを支える存在だ。正確な左足のフィードは、前線のラウタロ・マルティネスやマルクス・テュラムへと一気に攻撃を展開する起点となっている。もし冬の移籍市場で彼を失えば、インテルのスクデット争いに大きな影響を及ぼすことは避けられない。
一方のリヴァプールにとっては、バストーニ獲得は守備の安定だけでなく、未来への布石でもある。ファン・ダイクの後継者としての期待はもちろん、プレミアリーグでの激しい優勝争いを勝ち抜くための即効薬にもなり得る。
実際、今季のリヴァプールは攻撃面では好調を維持しているものの、守備面では不安定さが目立つ。直近10試合でのクリーンシートはわずか2試合にとどまり、失点数は優勝を狙うクラブとしては看過できない水準にある。
さらに、アーセナルやマンチェスター・シティといったライバルが着実に補強を進める中で、リヴァプールが現状維持に甘んじれば、再び後塵を拝する危険性がある。スロット監督の初年度で築き上げた攻撃的なスタイルを盤石なものにするためにも、守備の補強は避けて通れない課題だ。
個人的な見解
バストーニ獲得は、リヴァプールにとってクラブの未来を左右する分岐点になると考えている。
ファン・ダイクの後継者問題は数年来の懸案であり、これを解決できなければ、どれほど攻撃陣が充実していても欧州の頂点には届かない。
バストーニはその解を与える存在であり、リヴァプールの守備を新たな次元へと引き上げるだろう。
ただし、インテルがシーズン途中で放出に踏み切るかどうかは依然として不透明。スクデット争いの真っ只中で主力を失うリスクを取るとは考えにくいが、リヴァプールが8000万ユーロを超える巨額のオファーを提示すれば、クラブ経営の観点から無視できない誘惑となる。
もし実現すれば、リヴァプールはプレミアリーグ制覇に向けて大きな追い風を得ることになるだろう。
