ユヴェントスとドゥシャン・ヴラホヴィッチの関係は、かつてないほど不安定な局面を迎えている。セルビア代表ストライカーは今季もゴール前で存在感を示しているが、クラブとの契約延長交渉は停滞したまま。英『TEAMtalk』によれば、クラブは年俸削減を前提とした新契約を提示しているが、ヴラホヴィッチ側はこれを受け入れる気配を見せていない。
さらに、2025年夏には契約解除の可能性まで浮上したとも報じられており、ユヴェントスがフリー移籍を避けるために異例の手段を検討していることが明らかになった。セリエA屈指の高給取りである彼の給与は来季さらに上昇する見込みで、クラブの財政を圧迫する要因となっている。
一方で、ヴラホヴィッチ自身はピッチ上で結果を残し続けている。9月のチャンピオンズリーグ・ドルトムント戦では途中出場から2ゴール1アシストを記録し、土壇場でチームを救った。移籍騒動の渦中にありながらも、彼の勝負強さと集中力は揺らいでいない。本人も「雑音から力を得た」と語り、逆境をモチベーションに変えていることを強調している。
プレミアリーグ勢の動向とヴラホヴィッチの市場価値
この不安定な状況を見逃さないのが、プレミアリーグのクラブたちだ。トッテナム、チェルシー、エヴァートン、ウェストハムといったクラブは、以前からヴラホヴィッチの動向を追っており、契約延長が決裂すれば即座に動く準備を整えている。
特にトッテナムはハリー・ケイン退団後の得点力不足を補うため、チェルシーは前線の決定力不足を解消するために、彼を理想的なターゲットと見ている。
エヴァートンは深刻な得点力不足に直面しており、ウェストハムも前線の迫力を欠いている。2000万ユーロ前後という移籍金評価額は、欧州のトップストライカーとしては破格であり、各クラブにとってはリスクよりもリターンの方が大きい。
ヴラホヴィッチのプレースタイルは、プレミアリーグに適応しやすい。強靭なフィジカル、空中戦の強さ、そしてゴール前での冷静なフィニッシュは、イングランドの激しい守備を打ち破る武器となる。ユヴェントスでの戦術的制約によって爆発力を発揮しきれていない印象もあるが、環境を変えれば再びフィオレンティーナ時代のような得点量産を見せる可能性は十分にある。
個人的な見解
クラブは財政再建と戦力維持の狭間で揺れ動き、選手はキャリアのピークを迎える中で最適な選択を迫られている。もし契約延長が成立しなければ、ユヴェントスはまたしてもスターを手放すことになり、クラブの競争力低下は避けられないだろう。
一方で、プレミアリーグでプレーするヴラホヴィッチの姿は非常に魅力的だ。彼のフィジカルと決定力は、イングランドの舞台でこそ真価を発揮する可能性がある。特にトッテナムやチェルシーのように前線の得点力不足に悩むクラブにとって、彼は即戦力かつ象徴的な存在になり得る。
個人的には、ヴラホヴィッチがユヴェントスに残留してスパレッティ監督の下で復活を遂げるシナリオも見てみたい。しかし、クラブの財政状況や契約交渉の停滞を考えれば、来夏の移籍は現実味を帯びている。