アンフィールドが次なる右サイドの旗手を探している。トレント・アレクサンダー=アーノルドの退団によって生じた空白は、クラブの戦術に直結する深刻な課題。その穴を埋める存在として急浮上しているのが、フェイエノールトの19歳、ジファイロ・リートである。
英『TEAMtalk』の最新報道によれば、リヴァプールは彼をリストアップし、バイエルン・ミュンヘンやバルセロナと熾烈な争奪戦を繰り広げている。リート自身がリヴァプールのファンであることを公言している点も、移籍の現実味を高めている。
リヴァプールが狙うジファイロ・リートの現在地
リートはアムステルダム出身で、わずか15歳でプロデビューを果たした早熟の才能だ。フェイエノールトではアルネ・スロット監督の下でヨーロッパの舞台に立ち、攻守両面で急速な成長を遂げてきた。彼のプレースタイルは、爆発的なスプリントと冷静な守備対応を兼ね備え、現代的なフルバック像を体現している。
リートはエールディビジで右サイドバックとしてレギュラーを確立し、クロス成功率はリーグ平均を上回り、1対1の守備対応でも高水準を維持している。特に、試合ごとのスプリント回数が40回を超える運動量は、リヴァプールのハイテンポなスタイルに適合する要素だ。
バイエルンはすでに具体的な動きを見せており、リヴァプールは競争を強いられている。リヴァプールが約2500万ユーロのオファーを準備していると伝えてられている。さらに、バルセロナもリートを「継続的に追跡している」と報じており、争奪戦は三つ巴の様相を呈している。
トレント退団後の右サイドとリートの戦術的適合性
リヴァプールにとって右サイドバックは単なる守備者ではない。トレントが担ってきた役割は、ビルドアップの起点であり、攻撃の幅を広げる重要な存在だった。彼の退団後、クラブはジェレミー・フリンポンを獲得したものの、期待されたインパクトを残せていない。
さらに、コナー・ブラッドリーの起用も安定せず、時にはドミニク・ソボスライが右サイドに回る場面すらあった。これは戦術的な柔軟性を示す一方で、右サイドの不安定さを浮き彫りにしている。
リートはトレントほどの精密なロングパスを持たないが、縦への推進力と運動量で相手を押し下げる力がある。これはアルネ・スロットがリヴァプールに導入しつつあるダイナミックなサイド攻撃に適合する要素。
さらに、リートは守備時に冷静さを失わず、相手の突破を封じる能力に優れている。リヴァプールが求める「攻守両面での安定感」を備えた選手であることは間違いない。
個人的な見解
ジファイロ・リートの名前がリヴァプールの補強リストに載ったことは、クラブの未来を考える上で極めて合理的な動きだと感じる。
トレントの退団によって右サイドの空白はクラブの戦術に直結する大問題となっている。その中で、リートのような若く、成長曲線が右肩上がりの選手を獲得することは、即戦力以上に未来への投資になり得る。
もちろん、バイエルンやバルセロナといった競合クラブが存在する以上、移籍交渉は容易ではない。
フェイエノールトも契約延長によって強い交渉力を持っているため、移籍金は2500万〜3000万ユーロ規模に達する可能性がある。しかし、リヴァプールが本気で次世代の右サイドを確保するのであれば、ここで勝負に出るべきだ。
私自身の見立てでは、リートは即戦力というよりも、数年後に真価を発揮するタイプだ。コナー・ブラッドリーとの競争を経て、徐々にポジションを確立していく姿が目に浮かぶ。
アンフィールドの右サイドを駆け抜ける新たな背番号が、ファンの心を熱くする日が来るかもしれない。
