ヨーロッパの移籍市場で最も注目を集める若手のひとりが、オリンピック・リヨン所属のベルギー代表ウィンガー、マリック・フォファナだ。トルコ出身のサッカージャーナリスト、エクレム・コヌル氏によれば、アーセナルとリヴァプールが長らく追い続けてきたこの20歳の才能に、バルセロナが本格的に参戦した。
フォファナはKAAヘントで育ち、2024年初頭にリヨンへ移籍。そこからわずか2年足らずで公式戦74試合に出場し、17ゴール8アシストを記録している。今季もリーグ戦12試合で2ゴール1アシストと安定した結果を残しており、ベルギー代表でも既に5キャップを重ねている。左サイドを主戦場としながらも、前線のあらゆるポジションをこなせる柔軟性は、現代サッカーにおいて極めて貴重だ。
アーセナル、リヴァプール、バルセロナの思惑
アーセナルは左サイドの強化を急務としている。ガブリエル・マルティネッリの存在は大きいが、フォファナのような爆発力と多様性を持つ選手を加えることで、攻撃の幅をさらに広げたいと考えている。
リヴァプールは両翼の層を厚くすることが課題。モハメド・サラーの後継者問題が常に議論される中、フォファナの獲得は未来への投資となる。
一方、バルセロナはラ・リーガ王者としての地位を維持するため、左サイドの補強を最優先に掲げている。マンチェスター・ユナイテッドからレンタル中のマーカス・ラッシュフォードは今季16試合で6ゴール9アシストと好調だが、完全移籍には3000万ユーロのオプションが付随している。
クラブは財政的に慎重な姿勢を崩さず、より長期的な解決策としてフォファナを「次世代の主役」として位置づけている。バルセロナは既にフォファナの代理人と接触し、獲得の可能性を探っているという。
データが示すフォファナの価値
フォファナのプレースタイルは、爆発的なスプリントと細やかなボールタッチを組み合わせたものだ。1対1の突破力に優れ、相手ディフェンダーを置き去りにする場面は枚挙に暇がない。
さらに、クロス精度とシュート意識の高さが数字にも表れている。リヨン加入後の17ゴール8アシストは、若手選手としては異例の安定感を示している。
ベルギー代表での経験も彼を一段と成熟させている。国際舞台での冷静さと適応力は、プレミアリーグやラ・リーガといった熾烈な環境でも即戦力となり得る証拠だ。特に、代表戦で見せる縦への推進力と守備への献身は、クラブでの役割をさらに広げる可能性を秘めている。
個人的な見解
アーセナルは攻撃の多様性を、リヴァプールは世代交代を、バルセロナは財政難の中での再建を、それぞれフォファナに託そうとしている。彼の存在は、クラブの戦略的課題を解決するピースとなり得る。
個人的には、リヴァプールが最も彼を必要としているように思う。サラーの後継者問題は避けて通れず、フォファナの万能性はアルネ・スロットの戦術に完璧にフィットする可能性がある。
ただし、バルセロナの財政的な駆け引きは侮れない。リヨンの資金難を突いた交渉は、移籍市場の残酷さを象徴している。最終的にどのクラブが彼を手にするのか、その瞬間はヨーロッパ中のファンを震わせるだろう。