セリエAで迷走を続けるストライカーに、ロンドンの空気が新たな可能性を吹き込もうとしている。ユヴェントスで苦しむカナダ代表FWジョナサン・デイヴィッドをめぐり、チェルシーとトッテナムが冬の移籍市場で本格的な動きを見せている。
イタリアメディア『Tutto Mercato Web』の最新報道によれば、チェルシーはすでに夏に二人のストライカーを獲得しているにもかかわらず、ユヴェントスで苦戦するジョナサン・デイヴィッドに関心を示している。
セリエAではここまで10試合で1得点1アシストと期待を裏切る結果に終わっているが、リール時代に見せた鋭い裏抜けと決定力はまだ記憶に新しい。フランスでの成功を知るファンにとって、彼が再び輝きを取り戻す可能性は十分にある。
チェルシーの課題は、既存の攻撃陣とのバランスだ。 ジョアン・ペドロやリアム・デラップとの競争は避けられず、さらにエステヴァンや他の若手が台頭している。
過剰補強のリスクを抱えながらも、デイヴィッドの持つスピードとフィジカルはプレミアリーグ特有の激しいテンポに適応できる可能性がある。クラブが彼に投資するかどうかは、攻撃の多様性を広げるかどうかの選択でもある。
トッテナムが求める即効性のある切り札
一方でトッテナムは、ドミニク・ソランケやリシャルリソンの不安定なパフォーマンスに悩まされている。ユヴェントスがデイヴィッドを放出する可能性は高く、スパーズはその獲得に強い関心を持っている。彼のフィジカルと走力はプレミアリーグに適した資質であり、ハリー・ケイン退団後の空白を埋める存在として期待されている。
さらに、ユヴェントスがフリーで獲得した選手を利益目的で売却しようとしている点も注目。移籍金は高額にならない可能性があり、トッテナムにとっては「掘り出し物」となる可能性がある。新天地での挑戦を望むデイヴィッドにとっても、攻撃的なスタイルを志向するトーマス・フランク監督の下でプレーすることは、キャリア再生の大きなチャンスとなるだろう。
デイヴィッドは2025年夏にユヴェントスへ加入したが、ルチアーノ・スパレッティ監督の下ではドゥシャン・ヴラホヴィッチが完全に軸となり、出場機会は限られている。
ここまで公式戦13試合でわずか1得点という数字は、彼のキャリアにとって厳しい現実を突きつけている。ユヴェントスは冬の移籍市場で前線の再編を計画しており、デイヴィッドの放出は既定路線になりつつある。
この状況は、チェルシーやトッテナムだけでなく、マルセイユやバイエルン・ミュンヘンといった他クラブにも注目されている。だが、プレミアリーグの激しい競争環境こそが、彼の再生に最も適した舞台であると考えられている。
個人的な見解
この移籍話を追いながら感じるのは、ジョナサン・デイヴィッドが「再生型ストライカー」としてプレミアリーグに挑む構図の面白さだ。
リールでの成功から一転、ユヴェントスでの苦戦は彼のキャリアに影を落としている。しかし、25歳という年齢はまだ十分に伸びしろがあり、環境を変えることで再び輝きを取り戻す可能性は高い。
チェルシーにとっては、攻撃陣の過剰補強というリスクを抱えながらも、デイヴィッドの潜在能力に賭ける価値はある。
一方でトッテナムは、明確にストライカー不足という課題を抱えており、彼の加入は即効性のある解決策となり得る。どちらのクラブにとっても、この冬の移籍市場での判断はシーズン後半の命運を左右するだろう。
個人的には、プレミアリーグの激しいテンポとフィジカルに適応できれば、デイヴィッドは「失敗したユヴェントスの補強」から「プレミアリーグで蘇ったストライカー」へと物語を塗り替える可能性を秘めていると考えている。
さらに言えば、彼のキャリアは「挑戦と再生」の連続であり、ロンドンの二大クラブがその舞台を用意することは、サッカーファンにとっても大きなドラマとなる。
冬の移籍市場での決断が、彼の未来だけでなく、プレミアリーグ全体の攻撃戦略に影響を与える可能性がある。