マンチェスター・ユナイテッドが再び動いた。ベンヤミン・シェシュコの負傷によって前線の選択肢が限られる中、クラブはブラジルの新星エンドリッキに対して1月のローン移籍を打診した。
しかし、ブラジルメディア『Globo Esporte』の報道によれば、ユナイテッドの新たなオファーは拒否され、エンドリッキはリヨン行きを選択する方向に傾いている。
この決断は、ユナイテッドにとって痛恨の一撃だ。プレミアリーグでトップ4を狙う上で、攻撃陣の補強は避けられない課題だった。シェシュコの離脱に加え、ジョシュア・ザークツィーの移籍が迫るなど、前線の駒不足は現実として突きつけられている。
エンドリッキの爆発的なスピードとフィジカルは、まさにユナイテッドが求める即戦力だった。しかし、彼はオールド・トラッフォードではなく、リーグ・アンのリヨンを選んだようだ。
レアル・マドリードでの苦境とリヨンの魅力
エンドリッキは昨季、レアル・マドリードで公式戦37試合に出場し7ゴールを記録したが、今季はシャビ・アロンソ監督の下で出場機会を失い、ここまで公式戦11分という厳しい現実に直面している。背番号9を託されたにもかかわらず、ピッチに立てない事実は、若きストライカーにとって大きな試練だ。
そんな中、リヨンが提示したプランは彼にとって魅力的だった。パウロ・フォンセカ監督が直接説得に動き、グルパマ・スタジアムでの出場機会を保証したとされる。さらにリヨンはヨーロッパリーグで好調を維持しており、国際舞台での経験を積む環境が整っている。これは、エンドリッキが求める「成長の場」として理想的だった。
一方、レアル・マドリードは完全移籍を認めるつもりはなく、レンタル移籍に呼び戻し条項を付ける形で合意に近づいていると報じられている。つまり、リヨンでの挑戦は一時的なものであり、レアルが必要とすればすぐに呼び戻される可能性もある。
個人的な見解
エンドリッキの決断は、移籍市場の一エピソードではなく、キャリアの方向性を鮮明に示す選択だと感じる。
マンチェスター・ユナイテッドの名声やプレミアリーグの舞台は確かに魅力的だが、彼が選んだのは「出場機会」と「成長の保証」だった。19歳という年齢を考えれば、試合に出続けることこそが最も重要であり、リヨンでの挑戦はその意味で合理的。
ユナイテッドにとっては痛手だが、これはクラブの補強戦略の甘さを浮き彫りにしている。シェシュコの負傷に慌てて動いた結果、選手本人のキャリアプランを軽視したように見える。
今後、ユナイテッドが本当に若手スターを引き寄せたいなら、名門クラブという肩書きだけでなく、選手の成長を支える具体的なビジョンを提示する必要がある。
エンドリッキがリヨンでどれだけ輝けるかは未知数だが、彼の選択は「若手がどのクラブで育つべきか」という問いに新たな答えを投げかけている。
私自身、この移籍は彼のキャリアにとって正しい選択だと考えている。ユナイテッドが失ったのは、未来を象徴する存在であり、クラブの補強戦略における大きな警鐘でもある。
