久保建英の名前が、再びヨーロッパの移籍市場を熱くしている。スペイン紙『Defensa Central』の報道によると、トッテナム・ホットスパーが久保の契約解除金6000万ユーロを支払う準備を進めているそうだ。
レアル・ソシエダと2029年まで契約を結ぶ久保だが、解除条項を満たすオファーが届けばクラブは拒むことができない。まさに「満額勝負」の移籍劇が現実味を帯びてきた。
さらに複雑なのは、レアル・マドリードが依然として久保の権利を50%保持している点。同紙によれば、トッテナムが解除条項を発動すれば、マドリードは即座に3000万ユーロを得ることになる。
加えて、2027年夏以前にソシエダが久保を売却した場合、移籍金の半分がマドリードに流れる契約も残っている。つまり、この移籍はソシエダだけでなく、マドリードにとっても大きな経済的インパクトをもたらすのだ。
久保建英とトッテナムの戦術的フィット
トッテナムが久保に熱視線を送るの当然の成り行きかもしれない。両サイドでプレー可能な柔軟性、狭い局面でのボール保持力、そしてカウンター局面での推進力。
今季、デヤン・クルゼフスキやジェームズ・マディソンが長期離脱を余儀なくされている中で、攻撃のバランスを整える新戦力が必要とされている。久保はその条件に完璧に合致する。ソン・フンミン退団後、新たなアジア人アタッカーが誕生する可能性がある。
また、トッテナムは商業的な側面も見逃していない。日本代表のスターを獲得することでアジア市場での存在感を強められると指摘している。クラブのブランド戦略とピッチ上の補強が見事に重なる案件なのだ。
レアル・ソシエダと久保の現在地
久保は2024年2月にソシエダと契約を延長し、2029年までの長期契約を結んだ。これはクラブが彼を「プロジェクトの中心」と位置づけた証拠だった。
しかし2025/26シーズン、負傷による離脱もあり、公式戦での得点数は伸び悩んでいる。その間にゴンサロ・ゲデスらが存在感を示し、クラブ内での競争は激化している。ソシエダとしては久保を引き留めたいが、財政的にプレミアの資金力に抗うのは難しい状況。
一方で、ナポリやマンチェスター・ユナイテッドも久保に関心を示している。だが、現時点で最も積極的に動いているのはトッテナムであり、争奪戦の主導権を握っているのは間違いない。
個人的な見解
久保建英がトッテナムへ移籍すれば、プレミアリーグで日本人選手が主力として輝く新たな歴史が刻まれるだろう。
イングランドのサッカーの歴史に名を刻んだソン・フンミンに変わるシナリオであり、クラブにとっても戦術的・商業的に大きなメリットがある。久保自身も、ラ・リーガで培った技術と経験をよりフィジカルな環境で試す絶好の機会となる。
ただし、ソシエダでの立場を考えれば、移籍は必ずしも「逃げ」ではない。むしろ、彼が次のステージに進むための自然な流れだと感じる。
マドリードが依然として権利を保持していることも、この移籍を一層ドラマチックにしている。久保がロンドンでどのような物語を紡ぐのか、今後の展開から目が離せない。
