オールド・トラッフォードの未来を左右する判断が迫っている。マンチェスター・ユナイテッドは、ボルシア・ドルトムントのセンターバック、ニコ・シュロッターベック獲得に向けて本格的に動いている。
スペイン紙『Fichajes』が報じた最新情報によれば、リバプールやバルセロナも関心を示しているものの、現時点で最も有力な候補はユナイテッドだ。契約満了が迫る25歳のドイツ代表を巡る争奪戦は、プレミアリーグの勢力図を塗り替える可能性を秘めている。
マンチェスター・ユナイテッドとシュロッターベックの戦術的適合
ルベン・アモリム監督がユナイテッドに導入した3-4-2-1システムは、攻撃的なダイナミズムを生み出す一方で、守備の安定性を確保するために左利きのセンターバックを必要としている。シュロッターベックはその条件を完璧に満たす存在だ。
彼はドルトムントでの3シーズンで、ブンデスリーガとチャンピオンズリーグで安定したパフォーマンスを披露し、ビルドアップ能力とフィジカルの強さを兼ね備えた希少なタイプのディフェンダーとして評価されている。
ユナイテッドは昨夏、マテウス・クーニャ、ブライアン・ムベウモ、ベンヤミン・シェシュコといった攻撃陣を補強したが、守備面での大型補強は見送られていた。その結果、ハリー・マグワイアの衰えやリサンドロ・マルティネスの負傷が重なり、守備の不安定さが露呈した。シュロッターベックの加入は、まさにその弱点を埋める一手となる。
さらに、左足から繰り出されるロングパスは、前線のスピードスターたちを一瞬でゴール前に送り込む武器となる。アモリムの戦術において、守備から攻撃への切り替えを加速させる役割を担える点で、シュロッターベックは理想的なピースとなる。
ドルトムントの事情と移籍市場の構図
ドルトムントは財政面でのプレッシャーを抱えており、契約満了を前に高額オファーが届けば放出に踏み切る可能性が高い。シュロッターベックの市場価値は4500万〜5000万ユーロとされている。プレミアリーグの資金力を考えれば、ユナイテッドが提示できる条件は十分に競争力を持つ。
一方、リヴァプールはマルク・グエヒ獲得に失敗したことで守備再建が急務となり、シュロッターベックを代替候補としてリストアップしている。バルセロナも財政難の中で守備強化を模索しており、フリー移籍の可能性を視野に入れている。ただし、現時点で最も積極的に動いているのはユナイテッドであり、資金力と戦術的ニーズの両面で優位に立っている。
個人的な見解
シュロッターベックの移籍は、ユナイテッドにとって守備補強に向けた打ってつけの人材になり得る。
攻撃的な補強で勢いをつけた今、守備の安定を取り戻すことができれば、プレミアリーグでのタイトル争いに再び食い込む可能性は十分にある。
特に左利きのセンターバックは希少価値が高く、アモリムの3バック戦術においては戦術的な鍵を握る存在となるだろう。
ただし、リヴァプールやバルセロナも虎視眈々と狙っている以上、交渉は容易ではない。ユナイテッドが本当に「本命」として走り切れるかどうかは、資金力だけでなく、クラブとしてのビジョンを選手にどう伝えるかにかかっている。
シュロッターベックがオールド・トラッフォードの芝を踏む日が来れば、それは守備の再建だけでなく、クラブの未来を左右する大きな転換点になるだろう。