ジョー・ゴメスの移籍話は再び熱を帯びている。イタリア紙『Corriere dello Sport』の報道によれば、ACミランは冬の移籍市場でゴメス獲得に向けて「迅速な攻勢」を仕掛ける準備を進めている。
この夏の移籍市場ではクリスタル・パレスのマルク・グエヒ獲得が破談となったことで、リヴァプールはゴメスを手放す決断を回避した。しかし、アルネ・スロット監督の下で彼の出場機会は依然として限られており、28歳というキャリアの節目を迎える今、安定したプレー環境を求める声は強まっている。
リヴァプールは守備陣に不安を抱えている。ジョヴァンニ・レオーニが前十字靭帯断裂で長期離脱、さらにイブラヒマ・コナテも契約問題を抱えている。この状況でゴメスを放出すれば、クラブは深刻な守備不足に陥る可能性が高い。だが、選手本人にとってはベンチに座り続ける時間はもはや許されない。ミランはその隙を突こうとしている。
ゴメスは2015年にチャールトン・アスレティックからリヴァプールへ加入し、プレミアリーグ優勝やチャンピオンズリーグ制覇を経験してきた。だが、度重なる負傷と競争の激化により、常に「第3〜第4の選択肢」として扱われてきた。彼の最大の強みはユーティリティ性。センターバック、右サイドバック、さらには守備的MFまでこなせる柔軟性は、ミランの戦術において大きな価値を持つ。
ACミランが描く補強戦略とゴメスの適合性
ミランは現在、セリエAでの優勝争いを見据え、守備陣の強化を急務としている。フィカヨ・トモリやマッテオ・ガッビアといった既存戦力に加え、経験豊富で即戦力となる選手を求めている。ゴメスはその条件に合致する存在。
特にアッレグリ監督が採用するスリーバックシステムでは、サイドに広がる守備と中央のカバーリングを兼ね備えた選手が不可欠であり、ゴメスの多様なポジション適性は戦術的な柔軟性をもたらす。
さらに、移籍金の面でも現実的だ。リヴァプールは適切な条件が提示されればゴメスを放出する可能性がある。夏には契約延長の噂も流れたが、選手本人が出場機会を優先する姿勢を示している以上、クラブが冬に決断を下す可能性は十分にある。
ミランにとって、ゴメス獲得は守備の補強以上の価値を見出すかもしれない。経験豊富なプレミアリーグの選手を迎えることで、若手選手への刺激となり、チーム全体の競争力を高める効果が期待できる。セリエAの舞台で新たな挑戦を選ぶことは、ゴメス自身のキャリアを再活性化させる大きな転機となるだろう。
個人的な見解
今回のゴメスのケースは「選手のキャリアとクラブの事情が真正面からぶつかる典型例」だと感じる。
リヴァプールは守備陣の層が薄く、彼を手放すことはリスクでしかない。しかし、ゴメス本人にとっては、28歳という年齢でベンチに甘んじることはキャリアの停滞を意味する。選手の意欲を尊重しなければ、クラブと選手双方にとって不幸な結果を招きかねない。
私の見立てでは、リヴァプールは今季終了までゴメスを残し、その後に移籍を認める形が最も現実的だ。
だが、ミランが提示する条件次第では、冬の移籍市場で電撃的な動きが起こる可能性も否定できない。ゴメスがミランで新たな挑戦を選ぶのか、それともリヴァプールで最後の戦いを続けるのか。この冬の移籍市場は、彼のキャリアにおいて決定的な分岐点となるだろう。