ノースロンドンの空気がざわめいている。トッテナム・ホットスパーが久保建英獲得に再び動く可能性が高まっているからだ。ピート・オルーク記者によれば、久保の契約には約5200万ポンドの解除条項が存在し、クラブが本気で動けば1月にも交渉はスムーズに進むとされている。
トッテナムが久保に関心を寄せるのは今に始まったことではない。数年前から繰り返し名前が浮上してきたが、今回はその熱量が一段と強まっている。
久保はレアル・ソシエダで右サイドを主戦場とし、鋭いカットインと左足から放たれるシュートでラ・リーガを席巻してきた。今季も既に複数ゴールを記録し、攻撃の起点として存在感を放っている。
データ面でも、1試合平均のドリブル成功数や前進パスの受け手としての回数はリーグ上位に位置し、ウィンガーとしてだけではなく攻撃全体を活性化させる役割を担っている。トッテナムがトーマス・フランク監督のプレースタイルをさらに進化させるために、久保のような選手を求めるのは自然な流れだ。
トッテナムの戦術と久保建英の適合性
トッテナムは今季、ポステコグルーの下で前線からの圧力と流動的なポジショニングを武器にしている。リシャルリソンが中央でフィニッシャー役を担い、デヤン・クルゼフスキが右サイドで幅を作る。
しかし、クルゼフスキはプレーメーカー寄りの動きが多く、純粋な突破力やゴール前での決定力に欠ける場面もある。そこに久保が加われば、右サイドからの鋭い仕掛けと得点力が加わり、前線のメンバーとのコンビネーションで相手守備を切り裂く破壊力が生まれる。
さらに、久保は守備面でも献身的。ソシエダでは前線からのプレスに積極的に関与し、ボール奪取後の即時攻撃に繋げる動きを繰り返している。
プレミアリーグ特有のフィジカルとスピードに適応できるかは未知数だが、ラ・リーガでの経験と日本代表での国際舞台での落ち着きは、その不安を大きく和らげる。
オルーク氏が指摘するように、解除条項が存在する以上、トッテナムが決断さえすれば交渉は複雑化しない。問題はクラブがどこまで投資を決断するかだ。5200万ポンドという金額は決して安くはないが、久保の年齢、成長曲線、そしてマーケティング面での価値を考えれば、十分に合理的な投資といえる。
個人的な見解
久保建英のトッテナム移籍は、単なる噂の域を超えつつある。これまで繰り返し名前が挙がりながらも実現しなかった背景には、クラブの補強方針やタイミングの問題があった。
しかし、今季のトッテナムは明確に攻撃の幅を広げる必要性を感じており、久保のプレースタイルはそのニーズに直結している。ソン・フンミンに代わって、アジア市場においても大きな注目を集めるだろうし、クラブのブランド価値をさらに押し上げる可能性を秘めている。
個人的には、久保がプレミアリーグで挑戦する姿を見たい。ラ・リーガで培った技術と戦術理解を、よりフィジカルでスピード感のある舞台で試すことは、選手としてのキャリアを一段階引き上げる挑戦になるはず。
トッテナムが本気で動くなら、これはクラブにとっても選手にとっても大きな転機となる。久保がノースロンドンのピッチに立ち、プレミアの熱狂を背負う日が来るのか。その瞬間を想像するだけで胸が高鳴る。
