オールド・トラフォードの中盤に新たな風が吹き込もうとしている。マンチェスター・ユナイテッドがアトレティコ・マドリード所属のコナー・ギャラガー獲得に向けて代理人と交渉を開始したとベン・ジェイコブス氏が伝えた。
25歳のイングランド代表候補は、アトレティコでの出場機会に不満を抱えており、プレミアリーグ復帰を強く望んでいる。ユナイテッドにとって最も現実的な補強と位置づけらており、冬の移籍市場の注目株となるのは間違いない。
ギャラガーの現状とマンチェスター・ユナイテッドの補強ニーズ
ギャラガーは2024年夏にチェルシーからアトレティコへ移籍し、初年度は公式戦50試合に出場するなど存在感を示した。しかし今季は状況が一変。ここまで16試合で先発はわずか4試合、総出場時間も600分に満たない。本人も「満足していない」と語り、代表復帰のためにも安定した出場が不可欠だと認めている。
マンチェスター・ユナイテッドは中盤の再構築を急務としている。カゼミーロの契約満了が迫り、コビー・メイヌーやマヌエル・ウガルテの去就も不透明。ルベン・アモリム監督は二人の中盤補強を優先課題に掲げており、ギャラガーはその最有力候補に浮上している。
彼のボックス・トゥ・ボックス型のスタイルは、攻守両面で走力を提供し、ブルーノ・フェルナンデスやメイヌーと並んだ際にバランスを取りやすい。さらに、プレミアリーグで培った経験は即戦力としての信頼を高める。
移籍の可能性と戦術的インパクト
現時点で最も現実的なシナリオはローン移籍だとされる。アトレティコは夏の段階では放出を拒んだが、今季の序列を考えれば選手本人の希望を尊重する可能性は高まっている。ユナイテッド側も財政的なリスクを抑えつつ、冬の即効性ある補強を狙うならローンは理想的な形だ。
戦術的には、ギャラガーのハードワークはアモリムのシステムにフィットする。前線からのプレスを支える中盤の走力、セカンドボールへの反応、そしてボックス内への飛び込みは、ユナイテッドが近年欠いてきた要素。特に、ベンヤミン・シェシュコといった若いストライカー陣をサポートする形で、ギャラガーの縦への推進力は攻撃の厚みを増すだろう。
一方で課題もある。ギャラガーは技術的に突出したプレーメーカーではなく、展開力やゲームコントロールではブルーノ・フェルナンデスに依存する場面が多い。
つまり、彼の加入は中盤のエネルギー補給としては最適だが、試合を支配する司令塔役を担うわけではない。ユナイテッドが本格的にタイトルを狙うなら、ギャラガーに加えてもう一人、異なるタイプの中盤補強が必要になる。
個人的な見解
ギャラガーのマンチェスター・ユナイテッド移籍は、クラブにとって「即効性のある現実的な補強」であると感じる。
彼の走力と献身性は、アモリムの戦術において中盤の歯車をスムーズに回す役割を果たすだろう。特に、プレミアリーグの激しいテンポに慣れた選手を冬に迎え入れることは、シーズン後半戦の安定性を高める意味で大きい。
ただし、長期的な視点ではギャラガーだけでは不十分だ。ユナイテッドが本当に復権を果たすためには、ゲームを支配できる中盤の軸をもう一枚加える必要がある。ギャラガーはその「補完役」として最適だが、クラブの未来を託す存在ではない。
補強が成功すれば、ユナイテッドは再びプレミアリーグの上位戦線に食い込む力を取り戻すだろうが、その先にあるタイトル獲得にはさらなる補強が不可欠だと考えている。
