トッテナムが狙うセルビアの新星スタンコビッチ、インテルの買い戻し条項が揺さぶる未来

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トッテナムが狙うセルビアの新星スタンコビッチ、インテルの買い戻し条項が揺さぶる未来 Tottenham Hotspur

トッテナム・ホットスパーはクラブ・ブルージュで急成長を遂げている20歳のセルビア代表ミッドフィールダー、アレクサンダル・スタンコビッチに強い関心を寄せていると、イタリアメディア『Gazzetta dello Sport』が報じた。

彼は今夏、インテルのアカデミーからクラブ・ブルージュへ移籍し、わずか数か月でベルギーリーグとチャンピオンズリーグの両方でレギュラーに定着した。国内リーグでは13試合に出場し、さらに欧州の舞台でも4試合に先発。守備的な安定感と攻撃への推進力を兼ね備えたプレーで、トッテナムの補強リストに名を刻んでいる。

スタンコビッチは、元インテルのレジェンドであるデヤン・スタンコビッチの息子としても注目を集める存在だ。父譲りの戦術理解と闘志を持ち合わせ、ボール奪取から展開までを一人でこなす万能型。

空中戦にも強く、地上戦でも粘り強さを発揮する。昨季ルツェルンでのローン期間には、直接FKを決めるなど攻撃面での可能性も示しており、単なる守備的MFにとどまらない幅広い資質を持っている。

しかし、トッテナムの夢を阻む大きな壁が存在する。それがインテルによる買い戻し条項だ。2026年には2300万ユーロ、2027年には2500万ユーロでの買い戻し権が設定されており、インテルは既にこの権利を行使する意向を持っている。つまり、トッテナムがどれほど熱心に動いても、現段階で獲得の可能性は極めて低い。

インテルの影とプレミアリーグの競争

スタンコビッチの契約は2029年までクラブ・ブルージュに縛られているが、インテルの存在が常に背後にある。これは選手自身にとっても複雑な未来を意味する。

彼の市場価値は現在1300万ユーロに到達しており、成長曲線を描き続ける彼がインテルに呼び戻される可能性は高い。一方で、トッテナムだけでなくニューカッスルも彼に関心を示しており、プレミアリーグの複数クラブが競合する構図が生まれている。

スタンコビッチのプレースタイルは、プレミアリーグの激しいテンポに適応できる可能性を秘めている。守備的な安定感を持ちながら、攻撃の起点となる展開力を備え、さらに若さゆえの成長余地も大きい。

トッテナムが彼をリストアップしたことは、中盤の再構築を最優先課題としていることを示すものだ。ジョアン・パリーニャのバックアップとしても理想的であり、将来的には中盤の主軸となり得る存在だ。

ただし、現実的な補強は別の選手に向かう可能性が高い。インテルの買い戻し条項がある以上、スタンコビッチ獲得はほぼ不可能に近い。

それでも、トッテナムがこの名前をリストに加えたことは、クラブが未来志向の補強戦略を持っていることを裏付けている。即戦力だけでなく、数年先を見据えた投資を重視する姿勢は、クラブの方向性を示す重要なシグナルだ。

個人的な見解

スタンコビッチのケースは、ヨーロッパの移籍市場における才能の囲い込みの典型例。

インテルは自ら育てた選手を一度手放しながらも、成長を見届けた上で再び呼び戻すための仕組みを用意している。

これはクラブ経営の巧妙さを示す一方で、他クラブにとっては大きな障害となる。トッテナムがどれほど熱心に動いても、現実的にはインテルの意向に逆らうことは難しい。

ただし、トッテナムがスタンコビッチに注目したこと自体は評価すべきだ。彼のような若手を早期にリストアップし、可能性を探る姿勢はクラブの未来志向を示している。

プレミアリーグで成功するためには、即戦力と同時に長期的な投資が不可欠。スタンコビッチ獲得は叶わないかもしれないが、同じタイプの選手を見つけ出すことができれば、トッテナムの中盤は確実に進化するだろう。

私自身の見立てでは、トッテナムは今後もヨーロッパ各地の若手を追い続けるはずだ。スタンコビッチのような万能型ミッドフィールダーは希少であり、獲得競争は激化する。

しかし、クラブが本気で未来を築こうとするならば、こうした選手を早期に見極め、適切なタイミングで動くことが不可欠となるだろう。