アンフィールドの夜を幾度も守り抜いてきたイブラヒマ・コナテ。その存在感は、リヴァプールの守備における象徴であり、ファン・ダイクの隣で築いた鉄壁はクラブの黄金期を支えてきた。
しかし、彼の未来は大きな岐路に立たされている。契約満了が迫る中、ユベントスとバイエルン・ミュンヘンが獲得に動いており、リヴァプールは最終的な決断を迫られている。
コナテの現在地とリヴァプールでの役割
イブラヒマ・コナテは2021年夏にRBライプツィヒからリヴァプールへ加入し、瞬く間に守備の中核へと成長した。26歳となった今季も、プレミアリーグ王者として挑む2025/26シーズンで重要な役割を果たしている。
空中戦での圧倒的な強さ、スピードを活かしたカバーリング、そして冷静なビルドアップ能力は、アルネ・スロットに指揮官が代わっても戦術に欠かせない戦力だ。
今季ここまでの公式戦では負傷による欠場もありながら、出場した試合では安定感を示し続けている。特にチャンピオンズリーグでは、強豪相手に身体能力と集中力を発揮し、リヴァプールの守備を支えてきた。市場価値は依然として5500万ユーロ前後と評価されており、これは彼が世界トップクラスのセンターバックであることを裏付けている。
しかし、契約は2026年夏に満了を迎える。リヴァプールは延長交渉を進めているものの、コナテ本人は新たな挑戦に心を開いているとされ、クラブの思惑と選手の意志が交錯している。
ユベントスとバイエルンの狙い
ユベントスは守備再建を急ぐクラブであり、2025/26シーズンはブレーメルやフェデリコ・ガッティといった現有戦力を軸に戦っているが、経験値と安定感に欠ける場面が目立つ。
コナテのフィジカルと国際舞台での経験は、セリエAで再び覇権を狙う上で理想的な補強となる。彼が加入すれば、若手とベテランのバランスが取れた守備陣が完成し、ユベントスの再建は一気に加速するだろう。
バイエルン・ミュンヘンも彼に強い関心を寄せている。2025/26シーズンの守備陣はヨナタン・ターやダヨ・ウパメカノ、キム・ミンジェといった強力な顔ぶれを揃えているが、負傷や戦術的適応の問題が繰り返し浮上している。
コナテが加われば、競争を通じて守備の安定化を図れるだけでなく、ブンデスリーガでの経験を持つ彼は即戦力として機能する可能性が高い。
加えて、レアル・マドリードやパリ・サンジェルマンも関心を示しているとされ、争奪戦はさらに激化している。
個人的な見解
コナテの移籍問題は、リヴァプールにとって守備の屋台骨を失う可能性を意味する。ファン・ダイクの年齢を考えれば、彼の後継者としてコナテを残すことは極めて重要。
しかし、選手本人が新たな挑戦を望むなら、クラブは無理に引き留めるよりも、適切な後継者を探す現実的な選択を迫られるだろう。
私の見立てでは、ユベントスよりもバイエルンが有利に見える。ブンデスリーガでの経験、そしてクラブの戦術的スタイルとの親和性は、コナテにとって自然な選択肢となり得る。
ただし、リヴァプールが提示する新契約の条件次第では、残留の可能性も残されている。いずれにせよ、この移籍劇は2025/26シーズンの移籍市場を象徴する大きなトピックになるだろう。
リヴァプールファンにとっては不安と期待が入り混じる時間だが、クラブの未来を見据えた冷静な判断が求められる。守備の要を失うか、それとも新たな挑戦を受け入れるか。その答えは、近い将来必ず明らかになる。
