冷たい風が吹き荒れる11月のグラスゴーで、レンジャーズの中盤を支えるニコラス・ラスキンの未来が熱を帯びている。海外メディア『Voetbalnieuws.be』によれば、リーズ・ユナイテッドが来夏にラスキン獲得を狙っているという。
契約は2026年夏まで残されているが、来季に入れば残り1年となり、クラブは移籍金を得るために売却を検討せざるを得ない状況に追い込まれる可能性がある。
レンジャーズは1月の移籍市場でラスキンに対するオファーが届くことを予想しているが、クラブは「ビッグオファー」でなければ応じない構えを見せている。一方で、選手本人はダニー・レール新監督の下で再びレギュラーを掴み、ベルギー代表でも存在感を示しており、少なくとも冬の移籍市場で動く意志はないと父ティエリーが語っている。
ラスキンはスタンダール・リエージュからレンジャーズに加入して以来、攻守両面で存在感を放ち続けてきた。ボール奪取能力と展開力を兼ね備え、時には前線に飛び出してゴールを狙う積極性も見せる。今季もSPFLで安定したパフォーマンスを披露し、ヨーロッパリーグではローマ相手に苦戦しながらも中盤で奮闘した姿が印象的だった。
契約と移籍市場が交錯するレンジャーズとリーズの思惑
レンジャーズは財政面でも難しい局面に立たされている。夏に約2000万ポンドの純支出を記録したことで、ファイナンシャル・フェアプレーの懸念が浮上している。補強資金を捻出するためには、ラスキンのような主力選手を売却する選択肢が現実味を帯びてくる。
一方、リーズ・ユナイテッドはプレミアリーグ復帰を目指す中盤の補強を急務としている。ラスキンのように守備と攻撃の両面でバランスを取れる選手は、ダニエル・ファルケの戦術において大きな価値を持つ。リーズは過去にもレンジャーズから選手を獲得してきた歴史があり、スコットランド市場に精通している点も強みだ。
ただし、レンジャーズが設定する高額オファーは、リーズにとって大きなハードルとなる。プレミアリーグのクラブであれば資金力は十分だが、昇格を目指す段階での投資としてはリスクが高い。さらに、トッテナム・ホットスパーなど他のプレミア勢もラスキンに関心を寄せていると報じられており、競争は激化する一方。
ラスキン自身はベルギー代表での地位を固めつつあり、2026年ワールドカップを見据えたキャリア選択が重要になる。クラブに残って安定した出場機会を得るか、プレミアリーグで新たな挑戦を選ぶか、その決断は彼のキャリアを大きく左右する。
個人的な見解
ニコラス・ラスキンの移籍をめぐる状況は、レンジャーズの財政事情とリーズの野心が交錯する典型的なケースだと感じる。
レンジャーズはクラブの未来を守るために、選手の価値を最大限に引き出す必要がある。一方で、リーズにとってラスキンは中盤の安定をもたらす即戦力であり、昇格を狙うチームにとっては理想的な補強ターゲット。
私自身の見立てでは、ラスキンが1月に動く可能性は低い。父ティエリーの発言や選手本人の姿勢からも、シーズン途中での移籍は現実的ではない。
ただし、来夏には契約残り1年という状況がクラブに圧力をかけ、リーズや他のプレミア勢が本格的に動く可能性は高い。ラスキンがプレミアリーグの舞台でどこまで通用するか、その挑戦を見届けたいという期待感が強い。
彼のプレースタイルは、激しいプレスと素早い切り替えを重視するプレミアリーグに適応できる資質を備えている。レンジャーズにとっては痛手だが、選手の成長と挑戦を尊重するならば、来夏の移籍は避けられない運命なのかもしれない。
