ローマのオリンピコで昨季は主役の一人だったマテオ・ゲンドゥージ。48試合に出場し6ゴールに関与したその姿は、ラツィオの中盤を支える象徴だった。しかし今季は序盤から精彩を欠き、マウリツィオ・サッリの戦術にフィットできず、代表招集も途絶えた。
クラブの財政難が重なり、彼の未来は急速に揺らぎ始めている。そして今、プレミアリーグの複数クラブがその隙を突こうとしている。イタリアメディア『Corriere dello Sport』によると、ニューカッスル、サンダーランド、さらにアストン・ヴィラが、冬の移籍市場で彼を引き抜くための競争に火をつけた。
ラツィオでの停滞と放出の可能性
ゲンドゥージは2023年にマルセイユからラツィオへ渡り、初年度から主力として活躍した。ボールを前へ運ぶ推進力、相手に食らいつく闘志、そして試合のリズムを変える存在感。
昨季はチームに不可欠な駒だった。今季もラツィオでレギュラーを任されているものの、クラブの財政難も相まって放出候補に浮上している。
ラツィオは3000万ユーロ前後のオファーを受け入れる姿勢を示しており、冬の移籍市場での動きは現実味を帯びている。サッリは残留を望んでいるものの、クラブの事情がそれを許さない可能性が高い。
サンダーランドの野心、ニューカッスルの再建計画
昇格組ながらプレミアリーグで旋風を巻き起こしているサンダーランドは、現在ヨーロッパ圏内を狙える位置につけている。指揮官レジス・ル・ブリは、かつてロリアンでゲンドゥージを育てた経験を持ち、彼の能力を熟知している。
中盤にさらなる制御力を加えたいサンダーランドにとって、ゲンドゥージは理想的な補強。攻守の切り替えを加速させ、試合終盤に落ち着きをもたらす存在として、彼の加入はクラブの野心を現実に変える可能性を秘めている。
ル・ブリが望むのは、若手主体のチームに経験豊富な中盤の核を加えること。ゲンドゥージはその役割を果たすに十分なキャリアを積んできた。
一方、ニューカッスルは昨季のチャンピオンズリーグ出場から一転、今季は負傷者の多さと戦術の停滞に苦しんでいる。中盤の安定感を欠く彼らにとって、ゲンドゥージは再建の中心となり得る。彼の推進力と経験は、停滞するチームに再び火を灯す可能性を持つ。
ニューカッスルはすでにラツィオに正式なオファーを送ったと報じられており、資金力の面でも獲得は十分に現実的だ。彼らが狙うのは、チームの軸を再構築するための中盤の支柱である。
さらに、アストン・ヴィラもこの争奪戦に加わった。ヴィラはヨーロッパ戦線を視野に入れ、選手層を厚くする必要がある。ゲンドゥージの多様性と経験は、彼らの中盤に新たな選択肢を与えるだろう。
ヴィラの参戦によって、移籍市場は一層複雑さを増している。ラツィオが求める条件を満たすクラブがどこになるのか、その駆け引きは冬のマーケット最大の焦点となりつつある。
個人的見解
ゲンドゥージのキャリアは、挑戦と再生の連続だった。アーセナルでの若さゆえの衝突、マルセイユでの成熟、ラツィオでの躍動と停滞。そのすべてが彼を鍛え上げてきた。
今、彼は再び岐路に立っている。サンダーランドに加入すれば、クラブの勢いと彼の闘志が融合し、ヨーロッパの舞台を現実のものにする可能性が高い。
ニューカッスルに渡れば、停滞するチームを再び上昇気流に乗せる役割を担うことになる。ヴィラならば、安定した環境で再び自らを証明する舞台を得られるだろう。
いずれの選択肢も、彼のキャリアを大きく変える。ゲンドゥージはまだ26歳。中盤の核としてクラブを牽引する力を持ち、プレミアリーグの激しい競争の中で再び輝く準備は整っている。
冬の移籍市場で彼がどのユニフォームを纏うのか、その瞬間はプレミアリーグの今季を象徴する一幕となるはずだ。
