アンフィールドの空気は揺れている。昨季プレミアリーグを制したリヴァプールは、2025/26シーズン序盤で失速し、攻撃の迫力を欠いたまま苦しい戦いを続けている。
アルネ・スロット監督のチームは新しいスタイルを模索しているが、モハメド・サラーの衰えが顕著となり、クラブは未来を切り拓く新たな旗手を求めている。
スペイン紙『Fichajes』によると、その視線の先にいるのが、バルセロナのブラジル代表FWハフィーニャ。提示額は1億ユーロ。これはクラブの本気度を示すものであり、サラー後の時代を築くための投資でもある。
ハフィーニャの現在地
ハフィーニャは2022年にリーズ・ユナイテッドからバルセロナへ移籍し、瞬く間にクラブの主力へと成長した。2024/25シーズンには国内三冠を達成したチームの中心として輝き、バロンドール投票でも5位に入った。
今季も開幕から好調を維持していたが、9月に負った負傷で戦列を離れている。それでも彼の存在感は揺るがない。ハンジ・フリック監督の戦術において右サイドはハフィーニャのために開かれ、彼の推進力と決定力がバルセロナの攻撃を形作ってきた。
数字は鮮烈だ。バルセロナで150試合以上に出場し、60近いゴールと50を超えるアシストを記録。勝負どころでの冷静さ、守備への献身、そして試合を決定づける瞬間に現れる勝負強さ。これらが組み合わさり、勝利を呼び込む選手として評価されている。
リヴァプールの攻撃再構築
リヴァプールは昨季、サラーの爆発的な得点力に支えられてリーグ制覇を果たした。しかし今季はその輝きが薄れ、33歳となったエジプトの英雄はサウジアラビアからの巨額オファーに心を揺らしている。クラブは未来を見据え、次世代のエースを確保する必要に迫られている。
候補としてはクリスタル・パレスのマイケル・オリーセやボーンマスのアントワーヌ・セメニョが挙がっているが、ハフィーニャの経験値と即戦力性は群を抜いている。プレミアリーグでの実績を持ち、バルセロナで世界トップクラスの舞台を経験した彼は、リヴァプールの攻撃を一段階引き上げる存在となり得る。
リヴァプールが提示する1億ユーロは、クラブの本気度を示すもの。これは補強ではなく、サラー後の時代を切り拓くための投資であり、アンフィールドの未来を形作る決断でもある。
バルセロナは財政的な制約に直面している。新戦力獲得のためには資金を捻出する必要があり、ハフィーニャのように高額で売却可能な選手は経営陣にとって現実的な選択肢となる。リヴァプールが提示する1億ユーロという巨額オファーは、クラブにとって無視できないものだ。
個人的見解
ハフィーニャ獲得の噂は、リヴァプールの攻撃陣再編における核心を突いている。サラーの退団が現実味を帯びる中で、クラブは即座に結果を出せる選手を必要としている。
ハフィーニャはその条件を満たすだけでなく、プレミアリーグ復帰によって再び自らの価値を証明する舞台を得ることになるだろう。
ただし、リヴァプールが直面する課題は資金面だけではない。ハフィーニャを獲得すれば、刷新さひたセンターフォワード陣やコーディ・ガクポらとの共存をどう図るのか、戦術的な再構築が不可欠となる。アルネ・スロットがこの難題を解決できるかどうか。
私の見立てでは、ハフィーニャはリヴァプールにとって「サラーの後継者」という枠を超え、攻撃の多様性を広げる存在になる可能性が高い。
彼の加入は穴埋めではなく、アンフィールドの攻撃を再定義する契機となる。もしこの移籍が実現すれば、リヴァプールは再び欧州の頂点を狙う力を手にするだろう。
