サウジアラビアのアル・ヒラルでプレーするルベン・ネベスの周囲が、再び熱を帯びている。28歳のポルトガル代表は、プレミアリーグでの経験と実績を持つ稀有な存在であり、その帰還を望む声は日に日に高まっている。
スペイン紙『Fichajes』によれば、マンチェスター・ユナイテッドがこの冬の移籍市場で彼の獲得に本格的に動き出す構えを見せている。2000万ユーロという比較的手頃な移籍金、そして来夏で契約満了を迎える状況は、クラブにとって絶好の機会だ。だが、トッテナムやニューカッスルも同じく獲得を狙っており、競争は熾烈を極める。
マンチェスター・ユナイテッドが抱える中盤の課題
ユナイテッドの中盤は、カゼミーロとブルーノ・フェルナンデスという二枚看板に依存している。だが、その背後に控える選手たちは期待に応えられていない。この夏にはブライトンのカルロス・バレバ獲得に失敗し、アダム・ウォートンやエリオット・アンダーソンといった若手もリストアップされたが、複雑な事情から実現には至らなかった。
その中で浮上したのがネベスだ。ウルヴァーハンプトン時代に見せたプレミアでの安定感、試合を読む力、そして中距離からの強烈なシュート。守備的ミッドフィールダーではなく、試合のテンポを操る指揮者でもある。アル・ヒラルでの経験を経て、再びプレミアの舞台に立つ準備は整っているように見える。
トッテナムとニューカッスルの思惑
トッテナムはジョアン・パリーニャとの共存、あるいは競争を視野に入れ、経験豊富な中盤の補強を模索している。トーマス・フランク監督の下で攻撃的なスタイルを貫くチームにとって、ネベスの存在は守備と攻撃のバランスを整える重要なピースとなり得る。
ニューカッスルはさらに現実的なルートを持つ。アル・ヒラルと同じオーナーシップを共有しているため、交渉のハードルは低い。エディ・ハウ監督は中盤の厚みを増すことを強く望んでおり、ネベスの獲得はその願いを叶える最短距離にある。プレミア復帰を望む本人の意向も、ニューカッスルにとって追い風となる。
ネベスの移籍金は2000万ユーロと報じられている。プレミアリーグでの経験値、28歳という成熟した年齢、そして契約満了間近という状況を考えれば、この金額は「市場の妙味」と言える。
ユナイテッドにとっては、トップ4返り咲きを目指す上で理想的な補強であり、財政的にも現実的な選択肢だ。ただし、彼の現在の給与水準を考えれば、クラブが説得し、本人が妥協する必要がある。ここに交渉の難しさが潜んでいる。
個人的見解
ネベスの獲得は、ユナイテッドにとって中盤の再建に直結する。カゼミーロの負傷やコンディション不安が続く中で、彼の存在は即座に安定をもたらすだろう。
ブルーノ・フェルナンデスとの共存も魅力的で、攻撃と守備のバランスを高める効果が期待できる。プレミアでの経験を持つ選手を2000万ユーロで獲得できる機会はそう多くない。ユナイテッドがこのチャンスを逃すことは、再建の遅れを意味する。
一方で、私はネベス自身の選択にも注目している。彼がプレミア復帰を望んでいることは明らかだが、どのクラブを選ぶかでキャリアの方向性は大きく変わる。
ユナイテッドで再建の象徴となるか、ニューカッスルでCL常連を目指すか、あるいはトッテナムで攻撃的スタイルに挑むか。
いずれの選択も魅力的だが、彼のプレースタイルを考えれば、試合を支配する役割を与えられるユナイテッドが最も適した舞台に思える。来年初頭、彼の決断がプレミアリーグの勢力図を揺るがす可能性は極めて高い。
