リエカの背番号10、トニ・フルクの名前が今季のクロアチア国内リーグを超えて欧州の移籍市場を賑わせている。24歳の攻撃的MFは、2025/26シーズンここまで公式戦22試合に出場し、9ゴール2アシストを記録。国内リーグでは13試合で7ゴール1アシストを挙げ、さらにヨーロッパリーグやカンファレンスリーグでも得点を重ね、国際舞台での存在感を示している。
昨夏には国外移籍の噂が高まったものの、リエカに残留。しかし今季のパフォーマンスは、彼がクロアチア国内に留まるにはあまりにも眩しい輝きを放っている。クロアチアメディア『Novi list』によれば、リヴァプール、ミラン、トゥウェンテ、サッスオーロのスカウトがリジェカの試合を視察していたと報じられており、フルクの名前がそのリストに含まれている可能性は極めて高い。
彼のプレーは数字以上に観客を魅了する。中盤から前線へと推進力を与えるドリブル、相手守備を切り裂くスルーパス、そしてゴール前での冷静なフィニッシュ。リエカの攻撃を一段階引き上げる存在として、国内ではすでに評価が定まっている。
リヴァプールが求める攻撃的MF像とフルクの適合性
リヴァプールがフルクに関心を寄せるのは自然の流れ。ユルゲン・クロップ退任後、アルネ・スロット体制の下で再構築を進めるクラブは、攻撃的MFに柔軟性と創造性を求めている。この夏の移籍市場において、バイエル・レバークーゼンからドイツ代表MFフロリアン・ヴィルツを迎えたが、現時点ではその真価が発揮されていない。
フルクの特徴は、ボールを持った瞬間に周囲の動きを読み取り、最適な選択肢を瞬時に提示できる点にある。リヴァプールが近年課題としてきた “低ブロックを敷く相手への打開策” において、彼の視野と創造性は大きな武器となり得る。
さらに、クロアチア人選手特有のフィジカルとメンタリティは、プレミアリーグの激しい環境にも適応しやすい。
ACミランもまた、攻撃的MFの層を厚くする必要があり、フルクのような選手は戦術の幅を広げる存在となる。サッスオーロは若手育成と売却益を狙うクラブとして、フルクのような才能を好む傾向がある。トゥウェンテにとっても、オランダリーグで攻撃的なサッカーを展開する上で、彼の創造性は大きなプラスとなるだろう。
データが示す成長曲線と移籍市場での価値
フルクのキャリアを振り返れば、クロアチア国内で着実に成長を遂げてきたことが分かる。若手時代からテクニックに優れていたが、近年はプレーの安定感と試合を通じた影響力が増している。今季のスタッツはまだ途上だが、公式戦22試合で9ゴール2アシストという結果は、リジェカの攻撃に絡む頻度やチャンスメイクの質を裏付けている。
移籍市場における価値を考えると、即戦力かつ伸びしろのある選手として評価される可能性が高い。24歳という年齢は、欧州トップクラブが投資するには絶好のタイミング。さらに、クロアチアリーグからの移籍は比較的リーズナブルな移籍金で成立するケースが多く、リヴァプールのようなクラブにとってはリスクの少ない補強となる。
複数クラブのスカウトが同時に視察していた事実は、フルクの市場価値が急速に高まっている証拠だ。今後数か月のパフォーマンス次第では、冬の移籍市場で具体的なオファーが飛び交う可能性も十分にある。
個人的な見解
トニ・フルクのプレーを見ていると、数字以上の試合を動かす力が伝わってくる。リジェカの攻撃が停滞している場面でも、彼がボールを持つと一気にリズムが変わり、観客の期待が高まる。
これは技術だけでなく、試合を読む力と勝負どころを理解する感覚が備わっている証拠。リヴァプールが彼に目を向けるのは自然な流れであり、もしプレミアリーグに挑戦することになれば、その適応力を試す絶好の舞台になるだろう。
一方で、彼のキャリア選択は慎重であるべきだとも感じる。リヴァプールのようなトップクラブに移籍すれば競争は熾烈であり、出場機会を得るのは容易ではない。
ACミランやサッスオーロといったクラブでステップアップを重ね、欧州の舞台で経験を積むことも有効な選択肢になり得る。
いずれにせよ、フルクの才能は今後数年で必ず大きな舞台に引き上げられると確信している。彼がどのクラブを選ぶのか、その決断はクロアチアサッカーの未来にも影響を与えるだろう。