ベルナベウのベンチに座る時間が増えたロドリゴの表情は、かつての輝きを失いつつある。2025/26シーズン、シャビ・アロンソ新監督の下でアルダ・ギュレル、ブラヒム・ディアス、フランコ・マスタントゥオーノらが序列を上げ、ブラジル代表アタッカーはわずか359分しかプレーしていない。わずか4試合分にも満たない出場時間は、彼の才能を知る者にとって耐え難い現実だ。
レアル・マドリードでの停滞と移籍の必然性
ロドリゴは24歳にして既にチャンピオンズリーグ決勝でゴールを決めた経験を持ち、レアル・マドリードの未来を担う存在と目されていた。
しかし今季は序列の低下が顕著で、攻撃陣の中で居場所を失っている。数字は冷酷で、13試合に出場しても得点はわずか1。かつての切れ味鋭い突破や決定力は影を潜め、代表招集の可能性も揺らいでいる。
クラブ側も変化を受け入れつつある。スペイン紙『Fichajes』によれば、レアルはロドリゴを放出して資金を確保する選択肢を検討しており、トッテナムが提示した7000万ポンドのオファーは現実的な交渉の入口となっている。
トッテナムの野心と左ウイングの空白
トーマス・フランク監督が率いるトッテナムは、ソン・フンミンの退団によって左ウイングの破壊力を失った。モハメド・クドゥスは右寄りで輝きを放つが、左サイドには決定的な存在が不在。ランドル・コロ・ムアニは負傷続きで安定せず、若手ウィルソン・オドベルトやマティス・テルは可能性を示しているものの、プレミア上位を狙うには経験不足が否めない。
この空白を埋める存在としてロドリゴは理想的。スピードと柔軟なポジショニング、そして大舞台での冷静さを兼ね備え、プレミアリーグの激しいテンポにも適応できる。トッテナムが彼を獲得すれば、攻撃陣は一気に多彩さを増し、トップ4争いにおいて強烈な武器を手にすることになる。
もちろん、トッテナムが唯一の候補ではない。マンチェスター・シティは依然として攻撃陣の補強を模索しており、アーセナルも前線の層を厚くするために動く可能性がある。リヴァプールはモハメド・サラーの将来が不透明で、代役候補としてロドリゴをリストアップしていると報じられている。
しかし、複数のインサイダーは「ロドリゴが移籍するならトッテナムが最有力」と断言している。チェルシーは噂に上がったものの、現実的な交渉には至っていない。トッテナムが提示する金額と、即座にレギュラーを保証できる環境は、選手本人にとって魅力的な条件となる。
個人的見解
ロドリゴのキャリアは今、岐路に立っている。レアル・マドリードでの停滞を打破するには、出場機会を保証されるクラブへの移籍が不可欠。
トッテナムはその条件を満たす可能性が高く、彼を左ウイングの軸に据えるならば、クラブの攻撃は一段階上の破壊力を備える。ソン・フンミン退団の穴を埋めるだけでなく、マディソンやクドゥスとの連携によって新たな化学反応を生み出すだろう。
一方で、ロドリゴ自身が選ぶべきは「タイトル獲得の現実性」と「プレータイムの保証」のバランスだ。シティやリヴァプールはタイトルを狙える環境だが、出場機会は不透明。
トッテナムは即座に主役となれる舞台だが、優勝争いの現実性では劣る。どちらを選ぶかは、彼の野心とキャリア設計に直結する。
私の見立てでは、トッテナムがロドリゴを中心に据えるならば、彼はクラブのアイコンになり得る。プレミアリーグでの挑戦はブラジル代表復帰への近道でもあり、もしこの移籍が成立すれば、トッテナムは新たなエースを手にし、ロドリゴ自身もキャリアの第二章を鮮烈に刻むことになる。
