2025/26シーズンも佳境に差し掛かる中、リヴァプールが新たな補強ターゲットとして浮上させているのがノッティンガム・フォレストのエリオット・アンダーソン。
英『The Times』の報道によれば、アルネ・スロット監督率いるリヴァプールは、マンチェスター・ユナイテッド、ニューカッスル、さらにはチェルシーと並んで、この23歳のイングランド代表MF獲得に強い関心を示している。フォレストは昨夏にアンダーソンと長期契約を結んでおり、クラブは最低でも1億ポンドという強気の評価額を掲げている。
アンダーソンは2024年にニューカッスルからフォレストへ移籍し、わずか1年半でプレミアリーグ屈指の中盤へと成長した。2025/26シーズンでは既に公式戦15試合に出場し、1ゴール1アシストを記録。
数字以上に印象的なのは、試合の流れを変える推進力と、攻守両面での存在感。イングランド代表でもトーマス・トゥヘル監督の下でレギュラーに定着し、ワールドカップ予選ではデクラン・ライスと並び中盤を支える役割を果たしている。
リヴァプールにとって、この万能型MFは中盤再構築の軸となり得る。今夏にはフロリアン・ヴィルツ、アレクサンデル・イサクを獲得し、攻撃陣の刷新に成功したが、依然として中盤の厚みには課題が残る。
アレクシス・マク・アリスターやドミニク・ソボスライといった既存戦力に加え、アンダーソンが加われば、スロットが志向する前進的なポゼッションサッカーにおいて攻撃のアクセントを加えることができる。
エリオット・アンダーソンのプレースタイルと移籍市場での価値
アンダーソンの最大の武器は、ボールを持った瞬間に試合のテンポを変える推進力。中盤の底から前線へと縦に刺すパス、ドリブルでの持ち上がり、さらにはセカンドラインからのミドルシュートまで、幅広い武器を備えている。
守備面でもインテンシティが高く、90分あたり平均2.3回のタックル成功を誇る。攻撃と守備の両面で安定したパフォーマンスを発揮できる点は、リヴァプールが求める強度と技術の両立に合致している。
しかし、争奪戦は熾烈。マンチェスター・ユナイテッドはカゼミーロの契約満了を見据え、後継者としてアンダーソンを強く追っている。ニューカッスルも古巣復帰の可能性を模索しており、チェルシーも中盤の刷新を狙っている。リヴァプールがこの競争を制するには、財政的な覚悟とともに、選手本人にアンフィールドでの未来を確信させる説得力が不可欠。
さらに、フォレスト側も簡単には手放さない。クラブは残留争いの中でアンダーソンを中心に据えており、彼の存在はチームの生命線となっている。1億ポンドという価格は、クラブの存続戦略そのものを反映している。
個人的な見解
エリオット・アンダーソンは、リヴァプールが次のステージへ進むための象徴的な補強になる可能性を秘めている。彼のプレースタイルは、ユルゲン・クロップ時代から続く「強度と推進力」を体現しつつ、スロットが求めるポゼッション志向にも適合する。
中盤の再構築を進めるリヴァプールにとって、アンダーソンは単なる選手補強ではなく、未来のチーム哲学を体現する存在になり得る。
ただし、1億ポンドという価格はクラブにとって大きな賭けだ。過去にナビ・ケイタやアレックス・オックスレイド=チェンバレンのように高額で獲得した選手が期待通りの成果を残せなかった例もある。
だからこそ、アンダーソン獲得は「リスクを背負ってでも勝ちに行く」意思表示となるだろう。リヴァプールがこの挑戦を成功させれば、アンフィールドの中盤は再びプレミアリーグ最強の座を狙えるはずだ。
