2025/26シーズンのプレミアリーグは、マンチェスター・シティの圧倒的な攻撃力と緻密な戦術で再び熱狂を生んでいる。アーリング・ハーランドが16試合で19ゴールを叩き出し、ジェレミー・ドクがついに期待通りの爆発力を見せ、ティジャニ・ライネデルスが中盤を支配する。
さらに、復帰したラヤン・シェルキが攻撃に彩りを加え、ジャンルイジ・ドンナルンマが最後尾で鉄壁の守備を築いている。それでもペップ・グアルディオラは満足せず、右サイドバックの補強に照準を合わせている。
そのターゲットがニューカッスル・ユナイテッドのティノ・リヴラメント。英『TEAMtalk』によれば、シティは今夏バーンリーから獲得したGKジェームズ・トラフォードを交渉材料に含め、キャッシュを上乗せする形でリヴラメント獲得を試みている。
ドンナルンマ加入によってトラフォードの出場機会は限られ、クラブにとっては放出可能な駒となった。一方で、リヴラメントはニューカッスルの再建計画の中心選手であり、23歳にしてイングランド代表にも名を連ねる存在。
ティノ・リヴラメントの価値とシティの戦略
リヴラメントは2023年にサウサンプトンからニューカッスルへ移籍し、すでに公式戦で80試合以上に出場。縦への推進力、冷静な守備対応、そして攻撃参加のタイミングの良さで評価を高めてきた。エディ・ハウの下で成長を続け、イングランド代表でも数試合に出場するなど、プレミアリーグ屈指の若手右サイドバックとして地位を確立している。
グアルディオラの戦術において、ビルドアップの起点であり、攻撃の幅を広げる重要な役割を担う。カイル・ウォーカー退団以降、シティは本職の右サイドバック不足に悩まされてきた。リヴラメントはその穴を埋めるだけでなく、将来的にクラブの戦術をさらに進化させる可能性を秘めている。彼の持つスピードと戦術理解力は、シティのポゼッションサッカーに完璧にフィットする。
ニューカッスルのジレンマと移籍市場の波紋
ニューカッスルにとってリヴラメントはクラブの未来を象徴する選手だ。攻守両面でチームを支える存在であり、彼を失うことはプロジェクト全体に大きな打撃を与える。
しかし、トラフォード獲得はGKポジションの将来性を確保する意味を持ち、クラブにとっても魅力的な選択肢となり得る。現在の守護神ニック・ポープは安定感を誇るが、年齢的に次世代を見据える必要がある。トラフォードはイングランドU-21代表で活躍し、将来性豊かな逸材として評価されている。
この交渉は、プレミアリーグ全体に波紋を広げる可能性がある。マンチェスター・ユナイテッドもリヴラメントに関心を示しており、2026年に向けて両マンチェスター勢による争奪戦が激化する可能性が高い。
移籍市場は常に駆け引きの場であり、今回のケースはその典型。シティは余剰戦力を活用して必要なポジションを補強し、ニューカッスルはクラブの将来の中心選手を守るか、将来性あるGKを手に入れるかの選択を迫られている。
個人的な見解
今回のトレード案は、マンチェスター・シティの冷徹かつ合理的な補強戦略を表している。ジャンルイジ・ドンナルンマを獲得したことでジェームズ・トラフォードの居場所は狭まり、彼を駒として活用するのは理にかなっている。
一方で、ティノ・リヴラメントはニューカッスルの未来を背負う存在であり、彼を手放すことはクラブのアイデンティティを揺るがしかねない。ニューカッスルがこの提案を受け入れる可能性は低いと見ているが、シティの執念がどこまで続くかは注目に値する。
私の見立てでは、リヴラメントはシティの右サイドバック問題を解決するピースになり得る。彼の攻撃参加と守備の安定感は、グアルディオラの戦術に完璧にフィットするだろう。
しかし、ニューカッスルが彼を手放すならば、それはクラブの野心を大きく後退させる決断になる。移籍市場は時に残酷だが、この駆け引きがプレミアリーグ全体のダイナミズムを生み出しているのも事実。今後数週間の動向は、両クラブの未来は大きく変わるかもしれない。
