ロンドン・スタジアムのピッチを駆け抜けるジャロッド・ボーウェンは、ウエストハムの攻撃の中心であり続けてきた。しかし、2025/26シーズンの苦境は彼の心を大きく揺さぶっている。
クラブはプレミアリーグ序盤で降格圏に沈み、ヨーロッパの舞台は遥か遠くに霞んでいる。そんな中、ボーウェンは来夏にクラブを離れ、チャンピオンズリーグを戦うチームへ移籍する決意を固めつつあると複数の報道が伝えている。
ボーウェンの移籍決断とウエストハムの苦境
海外メディア『CaughtOffside』によれば、ジャロッド・ボーウェンは2026年夏にウエストハムを離れ、チャンピオンズリーグ出場クラブへの移籍を望んでいる。推定移籍価値は4770万ユーロで、プレミアリーグ内でも高い評価を受けるウインガーだ。
ウエストハムはここ3シーズンでリーグ14位以上に一度しか到達できず、今季も序盤11試合で7敗を喫し降格圏に沈んでいる。ヌーノ・エスピリト・サント新監督の下で立て直しを試みているものの、欧州大会への道は閉ざされている。クラブの停滞は、28歳となったボーウェンにとってキャリアのピークを逃す危機を意味する。
トッテナム・ホットスパーは新たな攻撃陣強化を狙っており、ボーウェンを獲得候補に挙げている。ニューカッスル・ユナイテッドも関心を示してきたが、現時点で具体的な動きは確認されていない。一方、リヴァプールはかつてモハメド・サラーの後継者として検討したものの、現在は関心を後退させている。
プレースタイルと移籍先での可能性
ボーウェンの最大の武器は、右サイドからの鋭いカットインとゴール前での冷静なフィニッシュだ。2022/23シーズンのヨーロッパ・カンファレンスリーグ決勝では決勝点を叩き込み、クラブの歴史に名を刻んだ。その後も公式戦で二桁得点を重ね、攻撃の中心として存在感を放ち続けている。
トッテナムに加入すれば、元チームメイトのモハメド・クドゥスとともに強烈な突破力を形成できる。ニューカッスルではアンソニー・ゴードンらと組み、よりダイナミックな攻撃陣を構築する可能性がある。いずれのクラブもチャンピオンズリーグ出場権を狙う立場にあり、ボーウェンの希望と合致する。
一方で、ウエストハムはクラブの象徴を手放すことに強い抵抗を示している。しかし、降格の危機や選手自身のキャリア志向を考えれば、来夏の退団は現実味を帯びている。
個人的な見解
ジャロッド・ボーウェンの移籍は、ウエストハムにとって痛恨の一撃となる。クラブの魂であり、ファンにとって希望そのものだった。
しかし、選手としてのキャリアを考えれば、チャンピオンズリーグでの挑戦を望むのは自然な流れだ。特に28歳という年齢は、欧州の舞台で輝ける最後のピークに近い。
私自身、ボーウェンのプレースタイルはトッテナムに最もフィットすると感じている。モハメド・クドゥスとの相互補完関係は、プレミアリーグでも屈指の破壊力を生み出すだろう。
ニューカッスルも魅力的な選択肢だが、戦術的な柔軟性と即戦力性を考えれば、トッテナムでの成功がより現実的だ。来夏の移籍市場は、彼のキャリアにとって決定的な分岐点となる。