464分で5得点の怪物をなぜ手放すのか?バイエルンで見切りをつけられた男にエディ・ハウが託す未来

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チェルシーから流浪するストライカー、ニコラス・ジャクソンに迫るプレミア復帰の可能性!? Chelsea

欧州フットボールシーンは冬の到来とともに、ピッチ外での駆け引きが熱を帯び始めている。とりわけイングランド北東部、セント・ジェームズ・パーク周辺の空気は異様だ。ピッチ上での激闘もさることながら、ニューカッスル・ユナイテッドの強化部が描く来夏の青写真が、あまりにも大胆かつ魅力的だからだ。

彼らの視線の先にあるのは、ドイツの絶対王者バイエルン・ミュンヘンで奇妙な時間を過ごしている一人のストライカー、ニコラス・ジャクソンである。チェルシーから追放同然にドイツへ渡ったこのセネガル代表FWは、限られた時間の中で驚異的な数字を残しながらも、完全移籍の道を閉ざされようとしている。

トルコの著名ジャーナリスト、エクレム・コヌール氏が発信した情報は、タインサイドのサポーターにとって、チームの運命を左右する転換点になることを予感させる。

チェルシーでの居場所を失った彼は、当初予定されていたアリアンツ・アレーナへの移籍が直前で破談になりかけるという不運に見舞われた。リアム・デラップの負傷という他者の事情に振り回され、一度はロンドンに留め置かれたものの、彼の執念が実り、数週間遅れでバイエルンへのローン移籍を勝ち取った経緯がある。

しかし、そこで彼を待ち受けていたのは、ブンデスリーガの盟主が誇る分厚い選手層の壁だった。だが、ここで強調したいのは、彼がベンチを温めているだけの存在ではないという事実だ。

わずか464分で示した「5得点」の衝撃とバイエルン・ミュンヘンでの不遇

データは嘘をつかないが、解釈次第でその意味は大きく変わる。今季、ニコラス・ジャクソンがバイエルンのシャツを纏ってピッチに立った時間は、11月末時点でわずか464分に過ぎない。通常の尺度で測れば、これは主力選手として計算されていないことを意味する。

しかし、その短い時間で彼が記録した「5ゴール1アシスト」という数字には、戦慄すら覚える。単純計算で約77分に1得点という驚異的なペースであり、ピッチに立てば必ず何かを起こす「ジョーカー」としての役割を完遂しているのだ。

それにもかかわらず、バイエルン首脳陣は見切りをつけ、完全移籍オプションを行使しない方針を固めたと報じられている。それはおそらく、ジャクソンのプレースタイルが、ドイツ王者が求める規律や秩序とは対極にある「カオス」を内包しているからだ。

彼の予測不能な動き、時に荒削りなボールタッチ、そして感情を爆発させるプレースタイルは、システムを重視するバイエルンにとっては異物でしかないのかもしれない。だが、この「異物感」こそが、プレミアリーグという荒波の中で戦うニューカッスルにとっては、喉から手が出るほど欲しい劇薬となり得る。

エディ・ハウ監督率いるニューカッスルは、今夏にニック・ウォルトメイドとヨアネ・ウィサという実力者を迎え入れ、前線の層を厚くしたばかり。それなのになぜ、再びアタッカーを欲するのか。

その答えは、ジャクソンが持つ唯一無二の「戦術的汎用性」にある。中央でのプレーはもちろん、左サイドに流れてのプレーも得意とする。ビジャレアル時代に見せた、サイドから斜めに切り込んでゴールを陥れる形は、アタッカー陣の負担を軽減する最適な解決策となる。

特に欧州カップ戦との二足のわらじを履く今季、そして来季を見据えたとき、前線のあらゆるポジションで違いを作れるジャクソンの存在は、チームのオプションを劇的に広げるはず。

ニューカッスル・ユナイテッドが画策するプレミア復帰と激化する争奪戦

ニューカッスルがニコラス・ジャクソンに固執する理由は、単に戦力値の計算だけではない。彼らは昨夏の移籍市場でもジャクソン獲得に動いており、その情熱は一度たりとも冷めていない。チェルシーで「ミスフィット」の烙印を押され、バイエルンでも定着できなかった男が抱える飢餓感。

これこそが、タインサイドの闘争心と共鳴するのだ。エクレム・コヌール氏によれば、現在エバートンを含む他の5クラブも彼の動向を追っているという。だが、再び欧州の舞台を目指すニューカッスルの野心と、ジャクソンが求める「主役としての舞台」が合致するのは、間違いなくセント・ジェームズ・パークだ。

戦術的な視点でさらに深掘りすれば、エディ・ハウ監督が求める強度の高いプレッシングにおいて、ジャクソンの身体能力とスプリント回数は大きな武器となる。彼は守備をサボる選手ではない。

むしろ、感情を前面に出してボールを追い回すその姿勢は、マグパイズのサポーターが最も愛する種類の選手だ。また、プレミアリーグの水に慣れている点も大きい。適応期間を必要とせず、加入直後からトップギアでプレーできる即戦力として、これほど計算できる人材は希少。

ウォルトメイドが高さとポストプレーで貢献し、ウィサが鋭い裏抜けを見せる中で、ジャクソンはその双方の要素を持ち合わせつつ、独力で局面を打開するドリブルという飛び道具も持っている。彼が左サイドでボールを持った瞬間、相手ディフェンダーは抜かれる恐怖と中へ切り込まれる恐怖の両方と戦わなければならない。

この不確定要素が相手守備陣に与えるストレスは計り知れない。来夏、チェルシーとの契約関係を清算し、完全移籍で彼を迎え入れることができれば、ニューカッスルの攻撃陣は欧州でも屈指の破壊力を持つユニットへと進化を遂げるかもしれない。

個人的な見解

ニコラス・ジャクソンの獲得は、ニューカッスル・ユナイテッドにとって近年で最もスリリング、かつ最高のリターンをもたらすギャンブルになる。確かに彼は完璧な選手ではない。

チェルシー時代に見せた決定機の逸脱や、不必要なイエローカードをもらう悪癖は、多くのファンの記憶に新しいだろう。バイエルンが彼を手放す判断をしたのも、そうしたムラっ気を嫌ってのことかもしれない。

464分で5ゴール。この数字が示すのは、彼が「何かを持っている」選手であるという動かぬ証拠。エディ・ハウという指揮官は、ジョエリントンをストライカーから中盤の潰し屋へと再生させたように、選手の隠れたポテンシャルを引き出し、チームのために戦う戦士へと変貌させる稀有な能力を持っている。

もしジャクソンが黒白の縦縞を纏い、セント・ジェームズ・パークの大歓声を背に受けて走れば、彼はこれまで以上の輝きを放つと確信している。

チェルシーを見返し、バイエルンを後悔させる。そんな反骨心に満ちたストーリーこそ、タインサイドのサポーターが見たいものであり、フットボーラーのロマンなのだ。