2025/26シーズンにおいて、不調が続くリバプールは今夏の大型補強に続き、新たな選手にも注目している。スペイン紙『Fichajes』の報道によれば、クラブはパリ・サンジェルマンで躍動するポルトガル代表ジョアン・ネヴェスに対し、1億6000万ユーロ規模のオファーを準備しているようだ。
ネヴェスは2024年夏にベンフィカからPSGへ移籍し、わずか1年半でクラブの中心選手へと成長した。2024/25シーズンには59試合に出場し、17ゴールに関与。トレブル達成の原動力となっただけでなく、今季もリーグ・アン第13節ル・アーヴル戦で得点を挙げるなど、チームの得点源としても存在感を放っている。
21歳にして中盤の支配力と得点力を兼ね備えた稀有な選手であり、ヨーロッパ全土から熱視線を浴びている。アルネ・スロット監督が描く戦術において、ネヴェスの多才さは極めて重要な存在になり得る。
中央での展開力を武器にしつつ、守備的な役割もこなし、さらにサイドバックとしてもプレー可能。リヴァプールが抱える課題 “中盤の安定性と攻撃の推進力不足” を一人で解決できる可能性を秘めている。
PSGが手放さない理由と移籍の現実性
しかし、この移籍は容易ではない。ルイス・エンリケ監督はネヴェスをチームの中心に据え、クラブもいかなるオファーにも応じない姿勢を明確にしている。契約は2029年まで残っており、PSGは彼を長期的なプロジェクトの核と見なしている。ネヴェス自身も現時点ではパリでの成功に集中しており、プレミアリーグ挑戦を公言する気配はない。
それでもリヴァプールは諦めていない。プレミアリーグという舞台の魅力、アンフィールドの熱狂、そしてクラブの競争力あるプロジェクトを提示することで、若きポルトガル人を引き寄せられると信じている。過去にもリヴァプールはフェルナンド・トーレスやルイス・スアレスといったスターを引き抜き、彼らをクラブの歴史に刻んできた。ネヴェス獲得はその系譜に連なる挑戦となる。
ネヴェスのプレースタイルとリヴァプールへの影響
ネヴェスのプレースタイルは、試合のリズムを自在に操る能力に集約される。ボールを受ける位置を柔軟に変え、守備から攻撃への切り替えを滑らかに行う。パス成功率はリーグ平均を大きく上回り、前線への縦パスで攻撃を加速させる。
さらに守備面ではインターセプトとボール奪取に優れ、相手の攻撃を未然に防ぐ力を持つ。アルネ・スロットの戦術は、前線の流動性と中盤の支配を基盤にしている。ネヴェスが加われば、アレクシス・マック・アリスターやドミニク・ソボスライとの組み合わせで、攻守両面において圧倒的な厚みを生み出せるだろう。
個人的な見解
1億6000万ユーロという金額は、クラブの歴史でも前例のない規模。これは未来を託す「中盤の支配者」を求める意思表示に他ならない。ネヴェスがアンフィールドに立てば、クラブの中盤は再び黄金期を迎える可能性がある。
ただし現実的には、PSGが手放す可能性は極めて低い。ルイス・エンリケの信頼を勝ち取り、クラブの中心に据えられた選手を引き抜くには、金額以上の説得力が必要。
リヴァプールが提示できるのは、プレミアリーグという舞台と、アンフィールドの熱狂、そして歴史に名を刻むチャンスだ。果たしてそれがネヴェスを動かすのか。この冬の移籍市場最大の焦点となるだろう。
