ブンデスリーガの舞台で急速に存在感を高めているのが、ライプツィヒの19歳ミッドフィールダー、アサン・ウエドラオゴ。シャルケの下部組織から育ち、2024年夏にライプツィヒへ完全移籍。
昨季は負傷に苦しみ公式戦わずか5試合の出場にとどまったが、2025/26シーズンは開幕から躍動し、ここまで公式戦12試合で3ゴール4アシストを記録。中盤の一角として攻守両面で存在感を放ち、ドイツ代表デビュー戦となったFIFAワールドカップ欧州予選スロバキア戦ではネットを揺らす鮮烈なゴールを決めた。
しかし、その勢いは思わぬアクシデントで一時的に止まった。11月23日のブンデスリーガ第13節、ヴェルダー・ブレーメン戦で先制点を挙げた直後に左膝の腱を痛め、数週間の離脱が決定。
クラブは年内復帰は難しいと発表しており、来年1月中旬以降の復帰が見込まれている。それでも、彼の才能に対する評価は揺るがず、ヨーロッパの移籍市場で最も注目される若手の一人となっており、リヴァプールとアーセナルが注目を寄せているとドイツ紙『Sport Bild』が伝えた。
リヴァプールとアーセナルが描く未来像とウエドラオゴの適性
リヴァプールはアルネ・スロット新監督の下で再構築を進めている。昨夏に大型補強を敢行したものの、今季は不安定な戦いが続き、タイトル防衛はすでに厳しい状況にある。
中盤のさらなる強化は急務であり、ウエドラオゴの推進力と攻守の切り替えの速さは、アンフィールドのスタイルに合致。ダイナミックなドリブルと縦への突破は、リヴァプールの攻撃に新たな変化をもたらす可能性が高い。
一方、アーセナルはミケル・アルテタの下で首位を走り続けている。デクラン・ライスやマルティン・ウーデゴールを中心に構築された中盤に、ウエドラオゴが加われば、さらに多様性を増す。
アルテタが重視するポジショナルプレーにおいて、彼の柔軟な動きと守備範囲の広さは大きな武器となるだろう。アーセナルは未来志向の補強を続けており、ウエドラオゴの獲得はその哲学を体現するものとなる。
プレミアリーグ4強による熾烈な競争
マンチェスター・ユナイテッドとチェルシーも早くからウエドラオゴに関心を示している。両クラブはスカウトを派遣し、ライプツィヒの試合を継続的に視察している。
契約解除条項が存在しないため、移籍には高額なオファーが必要とされ、ライプツィヒは最低でも1億ユーロ規模の評価を下していると報じられている。この金額は、彼が単なる将来性ではなく即戦力としても通用する水準にあることを示している。
この構図は、かつてのカイ・ハフェルツやジュード・ベリンガムを巡る争奪戦を思い起こさせる。ドイツから飛び出す才能は常にヨーロッパの移籍市場を揺さぶってきた。ウエドラオゴもその系譜に連なる存在として、今後数年の欧州サッカーを彩るだろう。
個人的な見解
ウエドラオゴの移籍を巡る動きは、クラブの未来像を映す鏡だと感じる。
リヴァプールにとっては中盤の世代交代を加速させる一手であり、アーセナルにとってはアルテタの哲学をさらに強固にする補強となる。ユナイテッドやチェルシーも含め、彼の獲得はクラブの方向性を決定づける可能性を秘めている。
個人的には、ウエドラオゴの持つ推進力と攻守の切り替えの速さは、リヴァプールのスタイルに最もフィットすると考えている。
アンフィールドの空気を変える選手は、クラブの歴史を塗り替える存在になり得る。負傷からの復帰が順調に進めば、来夏の移籍市場は彼を中心に動くことは間違いない。欧州の舞台で新たな物語が始まろうとしている。