2025/26シーズンのリヴァプールは、刷新した攻撃陣以上に深刻な状況に陥っているのがディフェンス陣。守備の不安定さがチーム全体のリズムを崩している。プレミアリーグ序盤戦ではノッティンガム・フォレストに0-3で敗れるなど、失点の多さが勝ち点を取りこぼす要因となった。
その中で、クラブが冬の移籍市場で最優先ターゲットとしているのがスポルティング・リスボン所属のゴンサロ・イナシオだ。スペイン紙『Fichajes』によれば、リヴァプールは同選手を巡る争奪戦を制するべく動きを加速させており、移籍金は8000万ユーロに達する可能性があるようだ。
一方で、彼の契約には6000万ユーロの解除条項が存在すると報じらている。24歳の左利きセンターバックは、ポルトガル代表でも定位置を確保し、冷静なビルドアップと対人守備の強さを兼ね備えた存在だ。今季もすでに公式戦16試合に出場し、2アシストを記録している。
リヴァプール守備陣の危機とイナシオの適合性
リヴァプールがイナシオに注目する背景には、深刻なセンターバック不足がある。イブラヒマ・コナテは契約問題もあり不安定なパフォーマンスに終始し、フィルジル・ファン・ダイクは年齢的にピークを過ぎつつある。
ジョー・ゴメスはユーティリティ性を持つが、負傷癖も含めて安定感に欠ける。長期的な再建を考えると、左利きでビルドアップ能力に優れたイナシオの存在は極めて重要となる。
彼の特徴は、ラインを押し上げる勇気と、相手のプレスをいなす冷静さにある。リヴァプールのハイライン戦術に適合する資質を備え、ファン・ダイクの後継者としても期待される。さらに、判断力は今季のリヴァプールが抱える守備の混乱を整理する役割を果たす可能性が高い。
一方で、8000万ユーロという巨額の投資はクラブにとって大きな賭けだ。過去にリヴァプールはファン・ダイク獲得に7500万ポンドを投じ、その投資は成功を収めた。しかし、今季の補強が軒並み期待外れに終わっている現状を踏まえると、再び市場を揺るがす大型契約に踏み切ることはリスクを伴う。
個人的な見解
リヴァプールがゴンサロ・イナシオに本腰を入れるのは必然だと感じる。守備の再建はクラブの未来を左右する最重要課題であり、彼の持つ戦術的適合性と年齢的な伸びしろは、まさに理想的な補強対象である。ファン・ダイクの後継者を探す作業は避けて通れず、その候補としてイナシオは最も現実的な選択肢だ。
ただし、8000万ユーロという投資が正当化されるかどうかは、クラブの経営判断と彼自身の即戦力性にかかっている。
今季のリヴァプールは攻撃陣の補強に偏り、守備のバランスを崩した。その失敗を繰り返さないためにも、イナシオ獲得は補強の一手ではなく、クラブ哲学の再構築を示すものとなるべきだ。
もしこの移籍が実現すれば、アンフィールドの空気は再び引き締まり、リヴァプールは守備から勝利を築くチームへと戻るだろう。
