アドリア海沿岸のスタジアムで響いた歓声が、アンフィールドのスカウト陣を突き動かしている。ハイドゥク・スプリトのロカス・プクシュタスは、2025/26シーズンのクロアチアリーグで存在感を増し続け、リヴァプールの補強リストに名を刻んだ。
21歳のアメリカ人ミッドフィールダーは、攻守を駆け抜ける推進力と冷静な判断力で、ヨーロッパの複数クラブから熱視線を浴びていると、地元紙『Novi List』が報じた。
ロカス・プクシュタスの現在地とプレースタイル
ロカス・プクシュタスは2004年8月生まれ、オクラホマ州スティルウォーター出身。アメリカとリトアニアの二重国籍を持ち、現在はハイドゥク・スプリトで背番号21を背負う。
2025/26シーズンのスーペルスポルトHNLではここまで13試合に出場し、4ゴール1アシストを記録。出場試合の大半で先発を果たし、攻撃的ミッドフィールダーとして確かな結果を残している。
彼の特徴は、ボックス・トゥ・ボックス型のダイナミズムにある。守備では相手の攻撃を潰し、攻撃では前線に走り込みフィニッシュに絡む。
身長181cmのフィジカルを活かしつつ、柔軟なポジショニングで中盤を支配する姿は、プレミアリーグの激しいテンポにも適応できる資質を感じさせる。さらに、アメリカ代表U-23での経験も積み始めており、国際舞台での成長も期待されている。
リヴァプールの中盤再編とプクシュタスの可能性
リヴァプールは2023年夏にアレクシス・マック・アリスターやドミニク・ソボスライを獲得し、中盤の刷新を進めた。しかし2025/26シーズンに入ると、負傷や過密日程の影響で中盤の層の薄さが再び課題となっている。カーティス・ジョーンズら控えるものの、さらなる競争力を維持するためには新たな駒が必要。
プクシュタスはその候補として浮上している。彼の推進力と若さは、リヴァプールの中盤に新たなエネルギーを注ぎ込む可能性を秘めている。リヴァプールのスカウトはアドリアティック・ダービーを含む複数試合で彼を視察しており、リストアップは既に進んでいる。
ただし、ハイドゥク・スプリトのスポーツディレクターは「売却の予定はない」と強調しており、契約は2027年まで残っている。獲得には相応の交渉力と資金が必要になるだろう。
クロアチアリーグからプレミアリーグへとステップアップする選手は少なくない。マルセロ・ブロゾビッチやマテオ・コバチッチのように、バルカン半島で育った選手が欧州トップリーグで成功を収めた例は枚挙に暇がない。プクシュタスもその系譜に連なる可能性を秘めている。
彼の市場価値は現在500万ユーロとされている。リヴァプールにとっては手頃な投資額だが、契約期間の長さとクラブの売却拒否姿勢を考えると、実際の移籍金は大幅に上昇する可能性が高い。さらに、イタリアやベルギーのクラブも関心を示しており、競争は激化している。
ロカス・プクシュタスの名前がリヴァプールの補強候補として浮上したことは、クロアチアの熱狂的なスタジアムからアンフィールドへと響く未来の可能性を示している。
21歳の彼はまだ発展途上だが、今季のパフォーマンスは確かな成長を裏付けている。リヴァプールが中盤の新たな駒を探す中で、プクシュタスは現実的なターゲットとして存在感を増している。
個人的な見解
プクシュタスはリヴァプールの未来を形作る可能性を持つ選手だと感じる。マック・アリスターやソボスライが築いた新しいリズムに、彼の推進力と冷静な判断が加われば、チームはさらに多様性を増すだろう。
プレミアリーグの強度に適応するには時間が必要だが、クロアチアで培った闘争心と技術はその壁を越える力になるはずだ。
移籍が実現するかはまだ不透明だが、少なくともリヴァプールのスカウトリストに刻まれたことは、未来への布石である。
アンフィールドの中盤に新たな風を吹き込む存在として、プクシュタスの名前は今後もファンの心を揺さぶり続けるだろう。