赤か青か、決断の時。左利きの怪物カステロ・ルケバ獲得レース、チェルシー先行の報にアンフィールドはどう動く?

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リバプール、カステロ・ルケバ獲得へ動く?守備再編に向けた本格的な一手か Chelsea

12月の足音が聞こえると共に、マージーサイドの凍てつく風に乗って、聞き捨てならないニュースが飛び込んできた。冬の移籍市場、その主役となるべき男の名前はカステロ・ルケバ。RBライプツィヒが誇る22歳のフランス代表センターバックだ。

英『CaughtOffside』が代理人筋に近い情報として伝えた内容は衝撃的だった。イングランドのクラブがこぞって熱視線を送るこの左利きの怪物獲得レースにおいて、現在ポールポジションを走っているのはリヴァプールではない。

あろうことか、プレミアリーグのライバルであるチェルシーが、冬の獲得に向けてリードしているというのだ。マンチェスター・ユナイテッドやニューカッスル・ユナイテッドも虎視眈々と機会を窺っているが、現状ではスタンフォード・ブリッジのクラブが一歩抜きん出ている。

9000万ユーロの壁と、冬に訪れた「6000万ユーロ」の奇妙な好機

なぜ、今ルケバなのか。そしてなぜ、チェルシーが先行しているのか。その背景には、昨今の移籍市場における複雑な数字のトリックが存在する。

ルケバとライプツィヒの契約には、9000万ユーロという莫大な契約解除条項が設定されている。この金額は、いかに有望な若手といえども、多くのクラブを門前払いにする鉄壁の守りとして機能してきた。しかし、状況は劇的に変化した。

最新の情報によれば、ライプツィヒ側はこの1月の移籍市場において、約6000万ユーロ程度のオファーがあれば、交渉のテーブルに着く用意があるというのだ。

本来であれば、来夏に解除条項が8000万ユーロへ減額される予定となっていた。常識的に考えれば、買い手は夏を待つのが定石だ。だが、今回の「冬の6000万ユーロ」という価格設定は、夏を待たずして争奪戦を制したいクラブにとって、計算を一変させる強烈なインセンティブとなる。

9000万ユーロでも8000万ユーロでもなく、6000万ユーロ。大幅なディスカウントこそが、チェルシーを冬のマーケットでの速攻に駆り立て、現在彼らをリードさせている最大の要因だ。

豊富な資金力を武器に、若き才能を乱獲気味にかき集めるチェルシーの戦略は周知の通り。彼らがこの好機を見逃すはずがない。リヴァプールが慎重に市場価値を見極めている間に、ブルーズはすでにアクセルを踏み込んでいる。

「現代型CB」の完成形。ルケバがリヴァプールに必要なこれだけの理由

リヴァプールがルケバを追いかけるべき理由は、単に「有望な若手だから」ではない。彼こそが、アルネ・スロット監督が目指すフットボールのラストピースになり得る存在だからだ。

かつてオリンピック・リヨンで頭角を現し、2023年にドイツへと渡った彼は、瞬く間にブンデスリーガに適応してみせた。今シーズンもここまで12試合に出場し、その評価を不動のものにしている。特筆すべきは、現代フットボールにおける希少種である「左利きのセンターバック」であるという点だ。

ビルドアップの局面を想像してほしい。最終ラインから左足で繰り出される正確な対角線のフィードは、相手のプレスを無力化し、一気に攻撃のスイッチを入れる。フィルジル・ファン・ダイクという右利きの絶対的な司令塔の隣に、左利きのルケバが並ぶ。これだけで、リヴァプールのビルドアップ・ルートは幾何学的に増加する。

さらに、彼の魅力はそのエレガントな足元だけではない。ライプツィヒ守備陣の中心として磨かれたのは、屈強なアタッカーをねじ伏せる対人強度と、広大な背後のスペースをカバーする圧倒的なアスリート能力だ。

「ボールが扱える」だけでなく「守り切れる」。この二つを最高レベルで兼ね備えた22歳は、世界中を探してもそうは見つからない。リヴァプールのハイライン戦術において、彼のようなタイプは喉から手が出るほど欲しい人材だ。

追うリヴァプール、逃げるチェルシー。逆転への鍵は「プロジェクト」の質にあり

現状、チェルシーがリードしているという事実は認めざるを得ない。しかし、勝負は下駄を履くまでわからない。リヴァプールには、チェルシーにはない強力な武器がある。それは「明確なプロジェクト」と「安定した環境」、そしてイブラヒマ・コナテという成功例だ。

チェルシーの混乱した補強戦略とは対照的に、リヴァプールは選手を慎重に選び、確実に成長させる環境が整っている。同じライプツィヒからやってきて、いまや世界最高のCBの一人へと成長したコナテの存在は、ルケバにとってこれ以上ない道標となるはず。

チェルシーに先行されている現状は、むしろFSG(フェンウェイ・スポーツ・グループ)の競争本能に火をつけるべきだ。6000万ユーロは安くないが、ファン・ダイクの後継者候補をライバルに奪われる損失に比べれば、あまりにも安い投資。冬の移籍市場が開くその瞬間までに、リヴァプールは巻き返しの狼煙を上げなければならない。

個人的な見解

もしもリヴァプールがルケバを逃せば、向こう10年間のディフェンスラインの安定を、ライバルに譲り渡すことを意味する。フィルジル・ファン・ダイクが34歳を迎え、守備陣の世代交代が待ったなしの状況において、これほど条件の揃った後継者は市場に存在しない。

チェルシーにとってもレヴィ・コルウィルを筆頭に将来有望株が揃っているものの、レギュラー組以外に圧倒的な信頼があるかと言われる微妙な状況だけに、フランス代表でも存在感を増しつつあるセンターバックに触手を伸ばすのは必然。

RBライプツィヒからの退団が近づく22歳のディフェンダーは、次なる移籍先としてどこを選ぶことになるのだろうか注目が集まる。