チェルシーでの構想外から欧州の舞台へ?ニューカッスルとウェストハムがアクセル・ディサシに注目か

スポンサーリンク
守備陣再建へのキーマン、ディサシがボーンマス移籍濃厚!ファブリツィオ・ロマーノが最新情報 Chelsea

ロンドンの空は鉛色に沈み、プレミアリーグは過密日程の狂乱へと突入している。街がクリスマスムードに浮き足立つ中、チェルシーのトレーニンググラウンド「コブハム」の片隅で、静かに、しかし確実に牙を研ぎ続ける男、それがアクセル・ディサシだ。

かつてフランス代表としてピッチに立ち、スタンフォード・ブリッジの最終ラインで咆哮を上げた巨人は今、完全なる沈黙を強いられている。エンツォ・マレスカ監督の冷徹な戦術的判断により、トップチームの構想から完全に除外された彼は、今シーズンの開幕以来、公式戦のピッチの感触をほとんど味わっていない。

しかし、フットボールの神は、この実直なハードワーカーを見捨ててはいなかった。海外メディア『Caught Offside』が報じた最新情報によれば、守備崩壊の危機に瀕するニューカッスル・ユナイテッドとウェストハム・ユナイテッドが、この不遇の優良銘柄に対し、1月の移籍市場での獲得オファーを準備しているようだ。

マレスカ・フットボールとの決別、そして「ヴィラ・パークの記憶」

なぜ、これほどの実力者が干されているのか。マレスカが構築する、極めて緻密で流動的なポゼッションサッカーにおいて、ディサシのプレースタイルはあまりにも「オールドスクール」過ぎたから。

現在のチェルシーが求めるのは、中盤に偽サイドバックとして入り込み、涼しい顔でパスを捌くテクニカルなDFだ。対してディサシの持ち味は、相手FWを物理的に粉砕する対人守備と、魂のこもったブロック、そしてセットプレーでの理不尽なまでの強さにある。このミスマッチは、監督交代という不可抗力によって生まれた悲劇であり、彼の実力不足を示すものでは決してない。

アストン・ヴィラへのローン移籍で一時的な自由を得た。あの半年間、ヴィラ・パークで彼が見せたパフォーマンスは、プレミアリーグのファンに強烈な印象を残している。ウナイ・エメリの戦術に見事に適応し、最終ラインに鍵をかけた彼の姿は、適切な環境さえあればリーグ屈指のDFであることを証明していた。

チェルシーに復帰した今、彼を待っていたのは再びの冷凍保存だった。だが、ヴィラでの成功体験は、彼自身にも、そして周囲のクラブにも確信を与えている。「ディサシは終わっていない。使い所さえ間違えなければ、彼は要塞になる」と。

チェルシー側も余剰戦力の整理に躍起になっており、オファーがあれば即座に首を縦に振る構えだ。これは事実上の厄介払いだが、ディサシにとっては牢獄からの脱出許可証に他ならない。

セント・ジェームズ・パークの熱狂か、住み慣れたロンドンの安息か

ディサシの前には今、二つの異なる未来が提示されている。一つは、ニューカッスル・ユナイテッド。エディ・ハウ率いるマグパイズは、今季もCL出場権を懸けた激しいレースの渦中にいる。彼らの守備陣は慢性的な負傷離脱に苦しんでおり、屈強なファイターの補強は最優先事項となる。

ニューカッスルのスタイルは、ディサシにとって理想郷に近い。ハイプレスとブロック守備を使い分けるハウの戦術において、個の力で局面を打開できるディサシのフィジカルは大きな武器となる。

何より、セント・ジェームズ・パークのサポーターは、泥臭く身体を張る選手を何よりも愛する。ダン・バーンやファビアン・シェアと並び、北東部の要塞を築く姿は容易に想像できる。ニューカッスルは彼にチャンピオンズリーグという最高の舞台を提供する用意があるという。キャリアの絶頂期を迎えるDFにとって、これほど魅力的な餌はない。

もう一つの選択肢は、ウェストハム・ユナイテッドである。ハマーズへの移籍が持つ最大のメリットは「生活の安定」だ。チェルシーと同じロンドンを本拠地とする彼らを選べば、住環境を変えるストレスなしに新たな挑戦を始められる。 ウェストハムもまた、守備の再構築を急務としている。ロンドン・スタジアムのピッチに立ち、フィジカルバトルを制圧するディサシの姿は、ハマーズの伝統的なタフなフットボールと完璧に合う。レギュラーポジションの確保という点では、層の厚いニューカッスルよりもウェストハムの方が確実性は高いかもしれない。

ユベントスやドルトムントといった国外のビッグクラブも関心を示しているが、ヴィラでのローン期間が示した通り、ディサシの本能はプレミアリーグの強度を欲している。イングランドでの戦いに未練を残したまま、大陸へ渡る選択肢は彼のプライドが許さないはずだ。

週給8万ポンドの「ミスフィット」とレッテルを貼られた男が、1月の移籍市場で主役に躍り出る。皮肉な話だが、チェルシーが切り捨てようとしているその強さこそが、ライバルたちが喉から手が出るほど欲しているものなのだ。

個人的な見解

正直に言えば、チェルシーの今の扱いには憤りを隠せない。確かに戦術的な適合性は重要だが、アクセル・ディサシという選手が持つ「メンタリティ」の価値を軽視しすぎている。

チームが苦しい時間帯、誰よりも声を出し、痛みを恐れずにシュートブロックに飛び込む。そういった数字に表れない献身性こそが、長いシーズンを戦い抜く上でチームの背骨になるのだ。

それを「スタイルに合わない」の一言で切り捨て、飼い殺しにする今のチェルシーには、かつてジョン・テリーやブラニスラフ・イバノビッチが体現していた「魂」が欠落しているように思えてならない。

移籍先として私が猛烈に推したいのは、ニューカッスル・ユナイテッド。昨季のヴィラでの活躍を見ても、彼は「明確な役割」と「熱狂的な支持」がある場所で輝く。エディ・ハウのチームには、選手を戦士に変える独特の空気がある。ウェストハムでの安定も悪くはないが、ディサシにはセント・ジェームズ・パークの轟音の中で、チェルシーを見返すようなパフォーマンスを見せてほしい。

CLのアンセムを聞きながら、青いユニフォームの首脳陣が頭を抱えるような活躍をする。それこそが、彼にふさわしい痛快な復讐劇となる。