プレミア覇権へのラストピース?アーセナルが狙うブンデスリーガの若き怪物、バホヤ獲得へ具体的動き

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フランクフルトの20歳の快速ウィンガー、ジャン=マテオ・バホヤに対しリヴァプールが熱視線を送る!? Arsenal

北ロンドンの冷たい風が吹き荒れる12月、エミレーツ・スタジアムの地下深くにある作戦室では、すでに半年後の熱狂に向けたシナリオが書き上げられつつある。

ドイツ人ジャーナリストのフロリアン・プレテンベルグ氏が伝えたところによると、アーセナルが、ブンデスリーガのアイントラハト・フランクフルトで異彩を放つ20歳の若きアタッカー、ジャン=マテオ・バホヤに対し、来夏の獲得に向けた具体的かつ強烈な関心を寄せているようだ。

冬の移籍市場すらまだ開いていないこの時期に、なぜ彼らは動き出したのか。そこには、ミケル・アルテタ監督が描く、妥協なき強化プランの深層が見え隠れする。

難攻不落の交渉人、マルクス・クレシェが敷く「7000万ユーロ」の防衛線

この移籍オペレーションにおける最大の障壁は、アイントラハト・フランクフルトの敏腕スポーツディレクター、マルクス・クレシェ氏の存在。過去にランダル・コロ・ムアニをパリ・サンジェルマンへ売却した際、徹底的な強気姿勢を貫き、莫大な移籍金を引き出した実績を持つ。

売却の達人が今回、バホヤに対して設定したプライスタグは最大7000万ユーロ。まだ20歳の若手選手に対し、これほど法外とも取れる金額を提示した背景には、確固たる勝算と契約上の強みがある。

ジャン=マテオ・バホヤとフランクフルトの契約は2029年まで残されている。クラブ側に売却を急ぐ理由は微塵もない。財政的な逼迫もなく、チームの主力として計算できる選手を安売りする必要性は皆無だ。

クレシェ氏が突きつけた7000万ユーロという数字は、「本気で欲しいなら、それ相応の誠意と資金を見せろ」というアーセナルへの挑戦状。この金額は、バホヤが現時点で見せているパフォーマンスへの評価だけでなく、彼が将来ワールドクラスの領域へ到達することを見越した先行投資税も含まれている。

アーセナル側はこの要求額を前にしても、怯む様子を見せていない。すでにフランクフルト側に対し、夏の獲得に向けた関心を正式に伝達済みだという事実は重い。近年の移籍市場において、有望な若手の価格高騰は留まるところを知らない。

今日7000万ユーロが高いと感じても、1年後には「バーゲン価格だった」と評されるケースは枚挙にいとまがない。ガナーズのフロント陣は、バホヤの才能がその領域にあると確信している。

ガブリエウ・マルティネッリを脅かす「予測不能」な才能

なぜ、アーセナルは左ウィングの補強にこれほどの熱量を注ぐのか。現在のチームにはガブリエウ・マルティネッリやレアンドロ・トロサールという素晴らしいタレントが揃っている。しかし、アルテタ監督が求めているのは、既存の秩序を破壊し、チーム内競争を極限まで高める起爆剤だ。

フランスのアンジェSCOでキャリアをスタートさせ、フランクフルトへとステップアップしたジャン=マテオ・バホヤの最大の武器は、独特のリズムから繰り出されるドリブルと、狭いスペースを苦にしないボールコントロールにある。

彼は、縦への突破力を持つマルティネッリとは異なり、よりハーフスペースでのプレーを得意とし、相手ディフェンダーの重心を崩してからのカットインや、意表を突くスルーパスで決定機を創出する。いわば「剛」のマルティネッリに対し、「柔」のバホヤという構図。

プレミアリーグのディフェンダーたちは屈強で、単純なスピード勝負だけでは通用しない場面も増えてきた。引いた相手の守備ブロックをこじ開けるには、組織的な崩しに加え、個人の閃きで局面を打開する理不尽な力が必要になる。

バホヤが持つ、一瞬でトップスピードに到達する加速力と、密集地帯でもボールを失わないキープ力は、アーセナルの攻撃に新たなオプションをもたらす。左サイドでボールを受けた彼が、独自のステップで相手を翻弄し、エミレーツのネットを揺らす。そんな光景が、現実味を帯びてきているのだ。

個人的な見解

7000万ユーロ。正直に言えば、まだブンデスリーガで絶対的な支配者になりきれていない20歳の若者に対し、この金額は狂気の沙汰にも思える。

しかし、これが2025年のフットボール界の現実だ。才能ある若手の価格は、実績ではなく、未来への期待値で決まる。もしアーセナルがここで躊躇すれば、マンチェスター・シティやレアル・マドリーといった資金力のある他クラブが、瞬く間に彼をさらっていくだろう。

私個人の意見としては、ジャン=マテオ・バホヤ獲得は「買い」だ。今のアーセナルに足りないのは、試合の流れが膠着した時に、一人で何かを変えてしまう「未知数」のエネルギーだ。

マルティネッリは素晴らしいが、相手に対策されつつあるのも事実。そこに全く異なるリズムを持つバホヤが加われば、相手守備陣は混乱に陥るに違いない。クレシェSDとの交渉は難航を極めるだろう。

もしこの補強が実現すれば、それはアーセナルが「育成するクラブ」から「勝つために最高級の才能を集めるクラブ」へと完全に変貌を遂げた、決定的な瞬間となるはず。来年の夏、あの赤いユニフォームを着たバホヤが、エミレーツのピッチを切り裂く姿を見たい。一人のフットボールファンとして、純粋にそう願う。