フリートランスファーの世界的守護神すら不要?チェルシー、メニャンよりも20歳GKペンダースを優先か

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チェルシーとユナイテッドが狙う守護神マイク・メニャン、ACミラン退団秒読みの現実 Chelsea

2025年の師走、西ロンドンの空は重く垂れ込めているが、スタンフォード・ブリッジの役員室では、来る夏のマーケットに向けた熱い議論がすでに沸点に達している。長らくブルーズの懸念材料として議論されてきたゴールキーパー問題。

ティボー・クルトワ退団以降、絶対的な守護神の不在に嘆くサポーターにとって、ACミランとの契約満了が迫るマイク・メニャンの獲得は、まさに干天の慈雨となるはずだった。しかし、ここへ来て風向きが劇的に変わり始めている。クラブが下そうとしている決断は、世界最高峰の即戦力確保ではなく、自らが保有する20歳の才能へのフルベットだ。

スポーツジャーナリストのベン・ジェイコブス氏によると、チェルシーの首脳陣は、来夏にフリーエージェントとなる可能性が高いマイク・メニャンとの契約交渉に再び乗り出すのではなく、マイク・ペンダースの育成と統合を最優先事項として掲げている。

昨夏、ミランとの金銭的な乖離により獲得を見送った際、メニャンはあくまで「条件が合えば獲得する」というオプションの一つに過ぎなかったことが判明した。そして今、クラブはその方針をより強固なものとし、実績ある30歳のフランス代表GKよりも、未来のポテンシャルに満ちたベルギーの若者にゴールマウスを託そうとしている。

この決断の根底には、現状のGK陣に対するクラブ内部の評価がある。ロベルト・サンチェスが時折見せる不安定な挙動にファンが頭を抱える一方で、データ部門やコーチングスタッフは現有戦力で十分に戦えるという強気な姿勢を崩していない。

メニャン自身はミランとの契約延長を保留し、他クラブへの移籍も視野に入れているが、チェルシーが彼を熱心に口説き落とす光景は、もはや過去のものとなりつつある。ミランがチャンピオンズリーグ出場権を逃せば、彼が市場に出てくる確率は跳ね上がるが、それでもブルーズの財布の紐は固い。完成された現在ではなく、未だ見ぬ未来の爆発力に向けられている。

ここで議論の中心となるマイク・ペンダースとは何者か。2024年夏にヘンクから獲得され、今シーズンから正式にチェルシーの一員としてロンドンでの生活をスタートさせたこの20歳は、単なる若手有望株の枠に収まらない怪物だ。

2メートルに迫る圧倒的なハイタワーでありながら、足元の技術はフィールドプレイヤー顔負けの繊細さを誇る。かつてヘンクから世界へ羽ばたいたティボー・クルトワの再来と称されるのも頷ける。エンツォ・マレスカ監督が求める「11人目のフィールドプレイヤー」としてのGK像に合致するプロフィールを持つ。

即戦力を高値で買う時代は終わり、原石を自らの手で磨き上げ、価値を最大化する。これこそがクリアレイク・キャピタルが主導するプロジェクトの真髄であり、ペンダースへのシフトチェンジはその最も顕著な例証だとなる。

だが、この若返り戦略の影で、冷酷なまでに切り捨てられようとしている男がいる。フィリップ・ヨルゲンセンだ。2024年にビジャレアルから2100万ユーロで加入し、まだロンドンの水に慣れたばかりのデンマーク人GKは、すでに構想外の淵に立たされている。

もし今、彼に投資した2100万ユーロを回収できるオファーが届けば、クラブは迷うことなく放出の判を押すだろう。加入からわずか1年半。長期契約を結ばせながら、パフォーマンスや市場価値の変動に応じて瞬時に損切りを行うドライな経営判断は、現代フットボールの残酷さをまざまざと見せつける。

ヨルゲンセンにとって不運だったのは、彼が「悪くない」GKでしかなかったことかもしれない。チェルシーが目指す頂、プレミアリーグとチャンピオンズリーグの覇権奪還には、「悪くない」レベルでは到底足りない。

ペンダースという、天井知らずのポテンシャルを持つ怪物が控えている以上、中途半端な実力者は容赦なく弾き出される。ヨルゲンセンが冬の市場、あるいは来夏に新天地を求めることになるのは、もはや時間の問題。

メニャンという世界的なブランドを捨て、ペンダースという不確定要素を選ぶ。このギャンブルは、吉と出るか凶と出るか。マレスカ監督の戦術眼と、スカウト陣の選球眼が試される究極の局面だ。30歳の熟練か、20歳の野心か。

チェルシーが選んだのは後者だった。それはサポーターに対し、「勝利の保証」ではなく「成長の物語」を共有せよというクラブからのメッセージに他ならない。スタンフォード・ブリッジのゴールマウスは、今まさに新時代の実験場と化そうとしている。

個人的な見解

チェルシーというクラブの「胆力」に感嘆すると同時に、一抹の危うさを感じずにはいられない。マイク・ペンダースが素晴らしい素材であることは認める。ベルギーリーグで見せた支配的なパフォーマンスや、その恵まれた体躯は、間違いなくワールドクラスの器と言える。

しかし、GKというポジションの特殊性を軽視しすぎてはいないか。最後尾から味方を鼓舞し、たった一つのビッグセーブで試合の流れを変える経験は、20歳の若者が一朝一夕に身につけられるものではない。

特に、マイク・メニャンという選択肢がありながら、それを能動的に放棄する姿勢には疑問符がつく。メニャンがミランで見せたリーダーシップと勝負強さは、今のチェルシーに最も欠けているピースだ。若い選手たちを導く羅針盤として、彼以上の適任はいない。

ペンダースを育てたいのであれば、メニャンの下で数年学ばせるという選択肢もあったはず。それをせず、いきなり若手を最前線に立たせ、ヨルゲンセンのような中堅を即座に切り捨てる。この極端なスクラップ・アンド・ビルドは、チームの継続性を著しく損なう恐れがある。

育成は美しい響きを持つが、ビッグクラブに求められるのは「結果」だ。もしペンダースがプレミアリーグの重圧に押しつぶされた時、誰がその責任を取るのか。ロベルト・サンチェスか? それともまた新しい若手か?

データを信じるのは良い。だが、フットボールはピッチ上の人間が織りなすドラマであり、数字では測れないメンタリティが勝敗を分ける。メニャン獲得を見送ったこの冬の判断が、数年後に歴史的な過ちとして語り継がれないことを祈るばかりだ。