ウォーカーの正式後継者?シティが6500万ポンドでヴァレンティノ・リヴラメント獲得を狙う

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マンチェスター・シティがティノ・リヴラメント獲得へ本腰、マンチェスター・ユナイテッドも関心示す Chelsea

北イングランドの凍てつく空気を切り裂くように、マンチェスターから熱波が押し寄せている。エティハドの支配者たちは、冬の移籍市場が開くのを待たずして、次なる覇権確立のための布石を打ち始めた。ターゲットは明確。

セント・ジェームズ・パークの右サイドを疾走する “若き翼” ヴァレンティノ・リヴラメントである。2025年も暮れようとする今、ペップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティが、この23歳のイングランド代表DFをチームに加えるべく、6500万ポンドという巨額のオファーを準備していると英『TEAMtalk』が報じた。

グアルディオラが渇望する「カイル・ウォーカーの完全なる後継」

長年にわたり右サイドの防波堤として、そして攻撃の起爆剤として君臨してきたカイル・ウォーカーはバーンリーに旅立った。超人的なスプリント能力と守備力で長きに渡ってグアルディオラ政権を支えたベテランDFの正式な後継者が見当たっていない。

リコ・ルイスという稀代の戦術的才能は手元にあるが、中盤でゲームを組み立てる「偽サイドバック」としての色が濃く、ウォーカーのように縦への圧倒的な推進力と、理不尽なまでの対人守備強度でサイドを制圧するタイプとは異なる。マテウス・ヌネスも起用されているが、やはりミッドフィルダーだ。

リヴラメントは、まさにウォーカーの系譜を継ぐにふさわしいモダン・アスリート。サウサンプトン時代に負った大怪我の悪夢を完全に払拭し、ニューカッスルで完全復活を遂げた彼のパフォーマンスは、プレミアリーグのウインガーたちを絶望させてきた。

爆発的な加速力で相手を置き去りにし、一度食らいついたら離さないタックル。そして何より、90分間アップダウンを繰り返しても落ちない心肺機能。グアルディオラが求める個の打開力と組織的な規律の両立を、彼は高い次元で体現している。

シティはこの獲得レースを制するために、6500万ポンドの現金に加え、ジェームズ・トラッフォードを交渉のテーブルに乗せる構えだという。ニューカッスルは以前からGKの補強を画策しており、シティのアカデミー出身であるトラッフォードに対し強い関心を抱いている。

ニューカッスルのエディ・ハウ監督にとって、正守護神ニック・ポープとの競争を促せる若手GKの獲得は魅力的。シティはこのウィークポイントを的確に突き、金銭だけでは動かないマグパイズのガードを崩そうとしている。

アーロン・ラムズデールが加入したと言えども、ポテンシャルではトラッフォードに気持ちが傾くのも理解できる。ここはニューカッスルが誰に未来を預けるかどうかの問題で、思惑通り交渉に乗り出すかは未知数のまま。

激化するマンチェスター・ダービーとチェルシーの未練、そしてPSRの影

リヴラメント争奪戦の様相を呈しているのは、シティだけが手を挙げているからではない。オールド・トラッフォードからも熱視線が注がれている。マンチェスター・ユナイテッドの指揮官、ルベン・アモリムにとって、リヴラメントは喉から手が出るほど欲しい人材。

アモリムの代名詞である「3-4-3」システムにおいて、ウイングバックはチームの生命線そのものだ。攻撃時にはウイングとして振る舞い、守備時には最終ラインを形成する。この過酷なタスクを完遂できる選手は世界でも限られるが、リヴラメントはその筆頭候補。ユナイテッドは、宿敵シティにこの才能を奪われることを断固として阻止したい構えを見せている。

さらに、かつて古巣のチェルシーも、エンツォ・マレスカ監督の下で再獲得を検討しているという。自ら手放した才能を、数倍の価格で買い戻す。近年のチェルシーの補強戦略に見られるこのサイクルは、一部のファンからは嘲笑の対象となっているが、オーナー陣の資金力は依然として侮れない。リヴラメントにとって慣れ親しんだロンドンへの帰還は、選択肢の一つとして常に存在する。

しかし、この移籍話の鍵を握るのは、選手の意思やクラブの野心だけではない。現代フットボールを支配する「PSR(収益性と持続可能性に関する規則)」という冷徹な数字の論理。ニューカッスルはサウジアラビアの富をバックに持ちながらも、このルールの制約により、無尽蔵に資金を投入することはできない。

主力選手を高値で売却し、帳簿上の利益を計上することは、クラブ経営の健全化、ひいてはさらなる補強のための必要悪となりつつある。6500万ポンドという提示額は、ニューカッスルの経営陣にとって、無視して通り過ぎるにはあまりにも巨大な誘惑。

エディ・ハウはリヴラメントを将来のキャプテン候補として高く評価し、契約延長を望んでいるが、経営陣が数字の前に屈する可能性は否定できない。

リヴラメント本人は、今のところ静観の構えを崩していない。タインサイドでの生活に満足し、ニューカッスルのプロジェクトにコミットしているように見える。

だが、チャンピオンズリーグの常連であり、バロンドール候補たちと日常的にトレーニングができるマンチェスター・シティからのオファーを、野心ある23歳の若者が簡単に袖にできるだろうか。冬のマーケットが開くと同時に、シティは一気呵成に勝負をかけ、1月中の決着、あるいは来夏の加入内定を取り付けにかかるだろう。

個人的な見解

マンチェスター・シティがリヴラメントを獲得すれば、プレミアリーグの絶望はさらに深まることになる。カイル・ウォーカーという唯一無二の存在がいなくなったタイミングで、それと同等か、あるいは攻撃面でそれ以上のポテンシャルを秘めた23歳を補強する。

この隙のなさが、シティを王者たらしめている所以。リコ・ルイスの技巧とリヴラメントの強靭さ。この二つの異なる武器を右サイドに揃えられたとき、対戦相手は戦術的な詰みに追い込まれる。

シティにとって6500万ポンドは決して安くはないが、向こう5年から10年の右サイドの安泰を買うと思えば、バーゲンセールと言っても過言ではない。

対するニューカッスルにとって、これはクラブの矜持が試される試練。ジェームズ・トラッフォードという魅力的な餌をぶら下げられ、PSRという名のナイフを突きつけられているが、ここでリヴラメントを手放せば、彼らは再び「ビッグクラブへの供給源」へと逆戻りする。

トップ4定着、そしてタイトル獲得を本気で目指すのであれば、どれほど魅力的なオファーであっても、「No」と突き返す気概が必要。リヴラメントの放出は、ブルーノ・ギマランイスといった他の主力選手たちに「このクラブはまだそのレベルか」という疑念を抱かせる引き金になりかねない。

ニューカッスルのフロントが目先の利益を取るか、未来の栄光への意志を示すか。この冬の決断が、クラブの今後数年の運命を決定づけるだろう。私はマグパイズが意地を見せ、この才能を死守する姿を見たいと願っているが、現実はもっと残酷かもしれない。