“ハイバーニアンの至宝” ジョシュ・マリガンにプレミア勢が接近!リーズとフォレストが争う

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“ハイバーニアンの至宝” ジョシュ・マリガンにプレミア勢が接近!リーズとフォレストが争う Leeds United

冷え込みが厳しくなるエディンバラの街並みとは対照的に、ハイバーニアン周辺の空気は熱を帯びている。2025年のカレンダーが残り少なくなると同時に、フットボール界は来るべき1月の移籍市場に向けた助走を開始した。

その中心にいるのが、イースター・ロードで躍動する23歳のミッドフィルダー、ジョシュ・マリガン。スコットランド・プレミアシップという、フィジカルと闘争心が支配するリーグで研鑽を積んだこの才能に対し、イングランド・プレミアリーグのリーズ・ユナイテッドとノッティンガム・フォレストが獲得へ向けて本腰を入れたとの情報が飛び込んできた。

海外メディア『Foot Mercato』が報じた内容によれば、マリガンとクラブの間には、冬の移籍ウィンドウで有効となるリリース条項が存在するという。つまり、札束が飛び交う現代フットボールにおいて、バーゲン価格で即戦力を手に入れる千載一遇のチャンスが転がっているわけだ。

当然、ハイバーニアンはこの流出を阻止したい。だが、契約書という絶対的なルールの前では、クラブの願いも無力化される恐れがある。エディンバラの英雄は今、キャリアを決定づける巨大な岐路に立たされている。

リーズとフォレストが抱える「中盤の欠落」とマリガンという最適解

2025-26シーズンも折り返し地点が見え始め、各クラブはチームの綻びを修正する作業に追われている。ノッティンガム・フォレストにとって、中盤の再編は避けて通れない課題。現在エリオット・アンダーソンが1月、あるいは来夏にチームを去るというシナリオに備えなければならない。

アンダーソンの退団はチームの心臓部に穴を開けることを意味し、その穴埋めは急務。クラブ首脳陣はリヨンのタイラー・モートンなどをリストアップし、長期的なプランニングを進めているが、ここでマリガンの名前が浮上したことは極めて合理的だろう。

マリガンの最大の武器は、そのポリバレント性にある。本職であるセントラルミッドフィルダーとしてゲームを組み立てるだけでなく、必要とあれば右サイドのエリアでも機能する。

現代のプレミアリーグにおいて、試合中にシステムを流動的に変化させる戦術柔軟性は不可欠であり、複数のポジションを高水準でこなせる選手は監督にとって最高の駒となる。フォレストが求める「即戦力」と「将来性」の両方を兼ね備えた存在、それがマリガンなのだ。

一方、エランド・ロードを本拠地とするリーズ・ユナイテッドもまた、中盤の強度不足に頭を悩ませている。ガラタサライの実力者ガブリエル・サラをトップターゲットの一人としてリストアップしているが、獲得には多額の資金が必要となる。

ファイナンシャル・フェアプレーの規則が厳格化する中、コストパフォーマンスは無視できない要素だ。そこでマリガンだ。もし報道通り、安価な移籍金で獲得できるのであれば、リーズにとってこれほど魅力的な選択肢はない。

浮いた予算を他のポジションの補強に回すことも可能となり、冬の補強戦略全体に好影響を与える。リーズとフォレスト、両クラブともに今シーズンの苦境を脱するための起爆剤として、このスコットランド人に白羽の矢を立てた。

国境を越えた包囲網。ヴォルフスブルクとリールが狙うスコットランドの原石

しかし、この争奪戦はドーバー海峡を越えた先でも展開されている。プレミアリーグ勢だけで決着がつくほど、市場は甘くない。ドイツのヴォルフスブルク、そしてフランスのLOSCリールといった欧州大陸の有力クラブもまた、マリガンの才能を高く評価し、獲得の機会を窺っている。

近年、スコットランドリーグ経由で欧州のトップリーグへステップアップし、成功を収める事例が増えている。アーロン・ヒッキーやルイス・ファーガソンのように、セリエAで評価を高めた選手たちの足跡は、スカウトたちの目を北へと向けさせるのに十分だった。

ヴォルフスブルクやリールは、若手選手を育成し、さらに高いレベルへと送り出すメソッドに長けている。プレミアリーグの激しい生存競争にいきなり飛び込むよりも、大陸で戦術的な深みを学ぶルートの方が、選手としての完成度を高めるには適しているという見方もできる。

ここで再び重要になるのが、例のリリース条項。通常、冬の移籍市場では売り手市場となり、移籍金は高騰する傾向にある。だが、条項が行使されれば、ハイバーニアンに拒否権はない。ヴォルフスブルクやリールにとって、交渉の相手はクラブではなく選手本人となる。

彼らは、プレミアリーグのクラブが提示する金銭的な条件に対抗するため、出場機会の確保や欧州カップ戦への道筋といった「プロジェクト」の魅力を提示してくるはずだ。イングランドか、それともドイツやフランスか。選択肢の多さは、マリガン本人にとって贅沢な悩みであると同時に、自身のキャリアデザインを厳しく問われる試練でもある。

ジョシュ・マリガンという、クラブのアイデンティティを体現する選手が、あまりにもあっさりとチームを去ってしまうかもしれない。だが、プロフットボールの世界において、才能ある選手がより大きな舞台を求めるのは必然の流れ。リーズ、フォレスト、ヴォルフスブルク、リール。4つのクラブが織りなす包囲網は日増しに狭まり、決断の時は刻一刻と迫っている。

個人的な見解

ジョシュ・マリガンは間違いなく、プレミアリーグの強度に適応できる稀有なタレントだ。スコットランドで見せるあのアグレッシブなボール奪取と、そこから一気にゴール前へなだれ込む推進力は、トランジションの激しいイングランドのスタイルと完璧に合致する。

特に、リーズ・ユナイテッドのような、伝統的にハードワークを重んじるクラブカラーにはうってつけだろう。彼がエランド・ロードのピッチを駆け回る姿は、容易に想像できるし、ファンも彼のプレースタイルを愛するはず。

一方で、懸念がないわけではない。スコットランドからイングランドへの移籍は、言葉や文化の壁がない分、適応しやすいと思われがちだが、プレースピードと判断の速さには雲泥の差がある。ジョン・マッギンのようにアストン・ヴィラで絶対的な地位を築いた成功例もあれば、適応に苦しみ姿を消した選手も数多くいる。

安価な契約解除条項は、獲得する側にとっては魅力的だが、選手にとっては「安く手に入れた駒」として扱われるリスクも孕んでいる。高額な移籍金で獲得された選手の方が、クラブ側も辛抱強く起用する傾向があるからだ。

だからこそ、マリガンには慎重かつ大胆な決断を望みたい。単に「プレミアリーグだから」という理由だけで飛びつくのではなく、監督が自分をどのように起用しようとしているのか、そのビジョンを明確に持っているクラブを選ぶべきだ。

もしフォレストやリーズが、プロジェクトの核心を担うピースとして見ているのであれば、迷うことはない。挑戦すべきだ。23歳という年齢は、守りに入るには早すぎる。失敗を恐れず、その才能を世界最高峰のリーグで証明してほしい。