ブンデスリーガの怪物セール・ギラシにチェルシーが接近、5000万ユーロの解除金を行使か!?

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セルー・ギラシ、ドルトムントの得点王に迫る決断?解放条項と欧州ビッグクラブの思惑 Chelsea

ロンドンの空はいつだって曇りがちだが、スタンフォード・ブリッジの首脳陣の頭の中もまた、終わりの見えない「得点力不足」という霧に覆われているよう。だが、その霧を晴らすための強烈な一撃を、彼らはドイツのルール地方に見出したのかもしれない。

ドイツ紙『Bild』が報じたところによると、チェルシーはこの冬、あるいは来たる夏の移籍市場に向けて、ボルシア・ドルトムントの絶対的なストライカー、セール・ギラシの獲得に本腰を入れているという。

すでに水面下では代理人との接触も始まっており、ブルーズの本気度が噂レベルの域を超えていることを物語っている。数々のストライカーが期待を裏切ってきた西ロンドンのクラブにおいて、ブンデスリーガでその決定力を証明し続けるギニア代表FWは、果たして救世主となり得るのか。

チェルシーが準備する5000万ユーロとセール・ギラシの野心

同紙が示唆する事実は極めて具体的であり、それゆえに現実味を帯びている。チェルシーはセール・ギラシの契約に付随しているとされる5000万ユーロの契約解除金を支払う準備をすでに整えている。

近年の移籍市場におけるチェルシーの金銭感覚からすれば、実績あるストライカーに対してこの金額は、ある意味でバーゲン価格に見えているのかもしれない。さらに、彼らは選手サイドに対しても年俸約1000万ユーロという破格の条件を用意しているとされる。これもまた、資金力に糸目をつけない彼ららしいアプローチとなる。

一方、選手側の心理もこの移籍劇を加速させる要因となり得る。セール・ギラシ自身もキャリアのピークを迎えている今、次なる契約を「キャリア最後にして最大の大型契約」と位置づけているようだ。フットボール選手としての寿命を考えれば、30歳前後でのプレミアリーグ挑戦、それもメガクラブからの好条件オファーは、喉から手が出るほど欲しいものであることは想像に難くない。

ドルトムントという素晴らしいクラブに在籍していても、プレミアリーグが提示する金銭的条件と煌びやかなスポットライトは、いつの時代も選手の心を揺さぶり続ける。代理人を通じて自身の将来設計について話し合いを進めているという事実は、ロンドン行きへの興味が決して小さくないことを示唆している。

しかし、ここで一つ大きな壁が立ちはだかる。それは「タイミング」の問題だ。選手本人もドルトムント側も、この冬の移籍市場での退団は望んでいない。シーズン途中での主砲流出はクラブにとって自殺行為に等しく、セール・ギラシ自身も環境適応のリスクが高い冬の移籍よりは、プレシーズンからしっかりと準備できる夏を望むのがプロフェッショナルとしての常当な判断だろう。

だが、チェルシーの前線の現状がそれを許すかどうかは別問題。彼らの得点力不足が深刻化すればするほど、冬のマーケット閉鎖間際に強引な引き抜き画策する可能性は捨てきれない。ドルトムントとしては、契約解除金という抗えない条項がある以上、常に引き抜きの恐怖と隣り合わせのシーズン後半戦を過ごすことになる。

ドルトムントの冬の放出拒否と夏の激動の予感

ドルトムントというクラブは、これまでも数々の名手を育て上げ、そして高値で売却してきた「育成とビジネス」の達人だ。アーリング・ハーランドやジュード・ベリンガムの例を見るまでもなく、彼らは適切なタイミングでの別れを知っている。

しかし、セール・ギラシに関しては状況が少々異なる。彼は若手有望株としてではなく、即戦力の結果を求められて加入した完成されたストライカーだからだ。チームの攻撃戦術の核となっている彼を失うことは、そのままブンデスリーガや欧州カップ戦での競争力低下に直結する。だからこそ、クラブ側が冬の放出を断固として拒否する姿勢を見せているのは極めて論理的。

それでも、チェルシーの執着心は侮れない。彼らが必要としているのは、単にゴール前に立っているだけの選手ではない。前線でボールを収め、激しいプレッシングをこなし、そして何よりワンチャンスを確実にモノにする「キラー」だ。セール・ギラシのプレースタイルは、まさにフィジカルコンタクトが激しいプレミアリーグ向きといえる。

屈強なディフェンダーを背負いながらでも反転シュートを放てる体幹の強さ、クロスに対する入り方の巧みさは、現在のチェルシーに欠けている最後のピースに合致する。5000万ユーロという金額は、彼の年齢を考慮すれば安くはないが、近年のストライカー市場の高騰ぶりを考えれば、実績に対する対価としては妥当、あるいは割安とさえ言える。

このニュースが駆け巡る今、チェルシーファンは期待と不安が入り混じった複雑な心境だろう。ロメル・ルカクやティモ・ヴェルナーなど、高額で獲得しながらプレミアの水に馴染めなかった例は枚挙にいとまがない。

だが、セール・ギラシがドイツで見せている一貫したパフォーマンスは、そうしたジンクスを打ち破る可能性を感じさせる。冬の動きが封じられたとしても、来夏の最重要ターゲットとしてリストアップされ続けることは間違いないだろう。

個人的な見解

正直なところ、チェルシーがこの冬に無理やりセール・ギラシを引き抜こうとすれば、それはパニックバイに近い結果を招くのではないかと危惧している。

ドイツとイングランドではフットボールの質もスピードも異なる。適応期間のない冬の加入で即座に救世主扱いされれば、そのプレッシャーで本来の良さが消えてしまうリスクがあるからだ。セール・ギラシという選手個人のクオリティに疑いの余地はないが、彼が最も輝くのは周囲との連携が確立された時。

だが、もし来夏に向けた事前合意、あるいは夏を見越した動きであるならば、これはチェルシーにとって近年で最も賢明な補強になる可能性を秘めている。5000万ユーロで計算できる得点源を確保できるのであれば、それはギャンブルではなく堅実な投資。

ドルトムントにとっては痛手だが、彼らはまた新たな才能を見つけてくるだろう。チェルシーに必要なのは「未来のスター」ではなく「現在の得点」だ。その意味で、セール・ギラシという選択肢は、派手さはないかもしれないが、最も理にかなった解であると私は確信している。