グエイ去就問題に終止符か、クリスタル・パレスがアタランタDFオディロン・コスヌを後継者に指名!?

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グエイ去就問題に終止符か、クリスタル・パレスがアタランタDFオディロン・コスヌを後継者に指名!? Crystal Palace

ロンドンの空が灰色に染まろうとも、セルハースト・パークの熱気が冷めることはない。だが、熱狂的なサポーターたちの歓声の裏で、クラブ首脳陣は極めて冷静かつ冷徹な計算を進めている。ひとつの時代が終わろうとしているのだ。

チームの精神的支柱であり、守備の要塞として君臨してきた主将マルク・グエイの退団が、いよいよ現実味を帯びてきている。彼が去った後の空白は、単なる選手の補充では埋まらない。魂の継承が必要なのだ。クリスタル・パレスのスカウト部門が白羽の矢を立てたのは、イタリアの地で研鑽を積むコートジボワールの怪物、オディロン・コスヌであった。

マルク・ゲヒの後継者問題とアタランタ守備職人への熱視線

イングランド代表としての地位を確立し、プレミアリーグ屈指のセンターバックへと成長したマルク・ゲヒに対し、国内外のメガクラブが触手を伸ばしていることは周知の事実。リヴァプールやニューカッスルなどが関心を寄せるとされる中、パレス側も座して死を待つような真似はしない。

英『TEAMtalk』が報じたところによれば、ロンドンのクラブはアタランタに所属するオディロン・コスヌの動向を極めて詳細に追っているという。なぜコスヌなのか。その答えは彼の経歴とプレースタイルにある。

かつてバイエルン・ミュンヘンの独走を止め、ブンデスリーガ無敗優勝という歴史的快挙を成し遂げたシャビ・アロンソ率いるレバークーゼン。その一員として欧州最高峰の戦術規律を叩き込まれた経験は、何物にも代えがたい財産。

その後、イタリアのベルガモへと渡り、セリエAの戦い方を吸収した。ブンデスリーガの組織力と、セリエAの対人守備力。この二つの異なる守備文化をハイレベルで融合させたディフェンダーなど、世界を見渡してもそう多くはいない。

アタランタ側は選手の育成と売却のサイクルを熟知しており、適切なオファーがあれば交渉のテーブルに着く用意があるという。パレスにとって、これは千載一遇の好機となる。

オディロン・コスヌがプレミアリーグにもたらす物理的優位性と戦術的適合

オリヴァー・グラスナー監督が志向する高強度のフットボールにおいて、センターバックには守るだけの役割は求められない。広大なスペースをカバーする走力、相手プレスの第一波を無効化するビルドアップ能力、そして何よりプレミアリーグの屈強なストライカーたちと対等に渡り合えるフィジカルが必要不可欠。

身長191cmの恵まれた体躯を持つコスヌは、これらの条件をすべて満たしている稀有な存在。特に、彼がレバークーゼン時代に見せていた、右センターバックからサイドバックのように駆け上がり攻撃に厚みを加えるプレーは、グラスナーの戦術パレットに新たな色彩を加えるだろう。

アタランタでの経験も大きい。ガスペリーニの戦術は、ディフェンダーに対して極めてリスクの高い守備を強いることで知られている。広大な背後のスペースをケアしながら、目の前のマーカーを潰す。この過酷な環境で揉まれた経験値は、トランジションが激しいプレミアリーグへの適応をスムーズにするはずだ。

欧州カップ戦での経験は、パレスが次のステップへ進むための重要な鍵となる。グエイが持つリーダーシップや冷静さとは異なるベクトルだが、コスヌがもたらす圧倒的なダイナミズムと推進力は、チーム全体のアグレッションを一段階引き上げる起爆剤となり得る。

アタランタ側は売却を急いでいないとの報道もあるが、プレミアリーグの資金力と、ロンドンという魅力的な舞台が、この取引を加速させる可能性は十分に高い。

個人的な見解

この動きはクリスタル・パレスというクラブの「野心」と「賢さ」の象徴として映る。マルク・グエイという絶対的な存在を失うことは、ファンにとって身を裂かれるような痛みだろう。彼がピッチ上で見せるあの落ち着き払った振る舞いは、何度チームの危機を救ったかわからない。

しかし、フットボールは感傷だけで回るものではない。グエイを高値で売却し、その資金でコスヌのような “これからの全盛期を迎える” 選手を獲得する。このサイクルこそが、中堅クラブが上位を脅かす存在であり続けるための唯一の解なのだ。

オディロン・コスヌは、決してグエイの代用品ではない。むしろ、オリヴァー・グラスナーの戦術においては、ゲヒ以上にフィットする可能性すら秘めていると私は見ている。あのアグレッシブな持ち上がりと、対人戦での容赦ない強さ。

セルハースト・パークのサポーターは、繊細な指揮官よりも、闘志を前面に押し出す戦士を愛する傾向がある。もしこの移籍が実現すれば、コスヌは瞬く間にファンの心を掴み、新たなカルトヒーローとなるだろう。

アタランタとの交渉は一筋縄ではいかないだろうが、パレスの強化部がこの逸材をロンドンに連れてくることができれば、来シーズンのイーグルスは、より凶暴で、よりスリリングなチームへと変貌を遂げるはずだ。