凍てつくロンドンに走る衝撃、スパーズが「パレスの怪物」マテタ強奪へ照準か!?

スポンサーリンク
マンチェスター・ユナイテッド、マテタ獲得へ加速?シェシュコ加入後も止まらぬ点取り屋探し Crystal Palace

12月の冷え込みが厳しさを増すロンドンだが、フットボール界の熱量は反比例するように上昇を続けている。2025/26シーズンも折り返し地点が見え始め、各クラブが後半戦の命運を握る「冬の補強」に目を血走らせているからだ。

その中心地、北ロンドンで今、一つの野心が具体的な形を成そうとしている。クリスタル・パレスの前線に君臨するフランスの巨塔、ジャン=フィリップ・マテタ。この遅咲きのストライカーを巡り、トッテナム・ホットスパーが強引とも言える手腕で獲得に乗り出す準備を整えた。

英『Football Insider』によれば、トッテナムはクリスタル・パレスとマテタの間で繰り広げられている契約延長交渉の決裂を好機と捉え、1月の移籍市場が開くと同時にオファーを提示する構えだ。セルハースト・パークの英雄が、ホワイト・ハート・レーンへとその住処を移すシナリオは、もはや絵空事ではない。

契約延長拒否が招く「冬の乱」、セルハースト・パークの王を狙うスパーズの算段

時計の針を少し巻き戻せば、夏の移籍市場においてクリスタル・パレスはマテタの残留に全てを懸けていた。他クラブからの関心を頑としてはねのけ、絶対的なエースを守り抜く姿勢を崩さなかったのだ。マテタ自身も強硬な手段に出ることはなく、プロフェッショナルとしてピッチに立ち続けた。しかし、事態はパレスにとって最悪の方向へと転がり落ちている。

交渉のテーブルは完全に凍りついた。クラブと選手側の溝は埋まる気配を見せず、契約満了へのカウントダウンだけが無慈悲に進んでいる。28歳となったマテタは、フットボーラーとしての絶頂期にある。

フィジカルコンタクトで相手ディフェンダーを弾き飛ばし、強引にシュートコースをこじ開けるそのプレースタイルは、プレミアリーグという荒波の中で洗練され、完成の域に達した。オリヴァー・グラスナー監督の下で覚醒したその得点能力は、パレスにとって生命線そのもの。

だが、ビジネスの世界に温情は通用しない。契約延長の合意がないまま冬を越せば、パレスはフリートランスファーでの流出という悪夢に直面する。あるいは、足元を見られた破格の安値で手放す羽目になる。パレス経営陣に残された選択肢は、この1月に市場価値に見合う金額で売却し、少しでも資金を回収することしかない。

トッテナムはこの窮状を冷徹に見透かしている。豊富な資金力を背景に、パレスが首を縦に振らざるを得ない金額と、マテタ自身がキャリアの飛躍を確信できるプロジェクトを提示する準備がある。

マテタにとって、スパーズからの誘いは魅力的。チャンピオンズリーグのアンセムを聴きながらプレーすることは、すべての選手の憧れであり、彼もまた例外ではない。ブレントフォードもストライカー獲得に動いているとされるが、トッテナムが有利な立場にいることは疑いようがない。

リシャルリソンという不確定要素、CL権奪取へ向けた「9番」の最適解

トッテナムがマテタ獲得に執念を燃やす背景には、既存戦力に対する明確な危機感がある。特にブラジル代表FWリシャルリソンの去就は、このオペレーションと密接にリンクしている。ポテンシャルに疑いの余地はないが、度重なる負傷と好不調の激しい波は、タイトルやCL権を争うチームにとって計算の立たないリスクであり続けている。

エヴァートンを含む複数のクラブがリシャルリソンに関心を寄せているという事実は、スパーズにとって渡りに船。不安定なリシャルリソンを高値で売却し、その資金と枠を使って、計算できるフランス代表のストライカーを迎え入れる。これは戦力強化であると同時に、リスク管理の最適解でもある。

マテタがスパーズにもたらすものはゴール数だけではなく、前線で起点となり、屈強なセンターバックを背負って時間を作ることで、2列目のアタッカーたちが輝くスペースが生まれる。シャビ・シモンズやトッテナムが展開するハイインテンシティなフットボールにおいて、前線でボールを収め、かつ自らもフィニッシュワークに関与できるマテタの能力は、喉から手が出るほど欲しいピースだ。

今シーズンのプレミアリーグは例年になく混戦模様を呈している。勝ち点1、得失点差1が最終順位を左右するシビアな戦いの中で、冬の補強は劇薬となる。適応に時間のかかる海外リーグからの新戦力ではなく、すでにプレミアリーグの激しさを熟知し、実績を残しているマテタを獲得することは、スパーズにとって勝利へのショートカットを選ぶに等しい。

パレスがどれほど抵抗しようとも、条件さえ整えば、この移籍は一気に加速する。北ロンドンの空に、フランス国旗がはためく日は近い。

個人的な見解

この移籍話を聞いたとき、私は思わず膝を打った。これほどまでに「理に適った」補強プランは、近年のトッテナムには珍しいからだ。若手有望株を青田買いし、数年後の爆発を待つ戦略も悪くはない。だが、今必要なのは即効性だ。

28歳のマテタは、これからの数年間がキャリアのピークになる。その一番おいしい時期を、契約問題による値崩れというバーゲン価格で手に入れられる可能性があるのだ。これを逃す手はない。

特に評価したいのは、マテタのメンタリティだ。彼はエリート街道を歩んできたわけではない。泥臭く、体を張り、批判を力に変えて今の地位を築き上げた。そのハングリー精神は、時に淡白さが顔を覗かせるスパーズのロッカールームに、良い意味での「野蛮さ」を注入するはず。

綺麗な崩しだけでは点が取れないとき、理不尽にネットを揺らす暴力的なまでの個の力。それこそが、スパーズがトップ4、あるいはその上を目指すために欠けていた最後のピースだと確信している。